片腕のないシンデレラ

7 ページ7

雄也side








｢ただいまー｣









P.M22:25 今日は少し遅くなった。忙しかったな．．．なんて｡家に帰ればみんな部屋に戻ってて、光が作ってくれたご飯がラップに包まれて置かれていた。









｢あれ．．．？誰か居る？｣







ソファの上で何かがもぞもぞと動いたような気がして、そっと覗いてみると大貴の姿が。どうやらバイトから帰ってきてそのまま眠ってしまったみたい｡服も制服のまんまだ。








｢大貴．．．大貴〜｣







大貴｢ッ．．．雄也？．．．あれ？寝てた｣





｢お疲れ様｡寝るんだったら着替えて、自分の部屋で寝な？お風呂も明日でいいし．．．｡ご飯は食べた？｣






大貴｢まだ．．．でもお腹空いてないから｡もう寝るね､おやすみ｣





｢そっか．．．大貴!!あんまり無理すんなよ。なんかあったら相談してね｣







大貴｢うん｡ありがとう｣









久しぶりに見たかもしれない大貴の寝顔｡そういえば毎朝俺らは誰かしらが起こしに来るのに、大貴はいつも自分で起きてきてたっけ。それに最近受験やらバイトやらで忙しくて話すこと自体久しぶりだった．．．
相変わらずなんか素っ気なかったな笑









小さい頃から何となく感じてはいた､大貴が気づいて！って自分の存在を示すように周りに気を使って無理をしていたこと｡上も下も4つ子なんて珍しい兄弟のなか自分だけが1人｡周りもいつも4つ子の話ばっかりで悲しそうにしていたこと覚えてる。でもいつからか彼は変わってしまって、自分の中の空間から出てこなくなった。それを今では俺らも当たり前だと捉えてしまっているのだ。









｢また今度どっか連れて行ったやろ．．．笑｣








どうしてあげれば彼を救ってあげれる？

8→←6

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す