片腕のないシンデレラ

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慧side








｢ふわぁ〜｣








雄也｢いっつも眠そうじゃん。ちゃんと寝てる？勉強ばっかしてんじゃないの？｣









｢まぁぼちぼち｡その辺の受験生と変わんないよ笑｣









俺たちは今年受験生だ．．．親はまぁ厳しくて国公立を勧めてくる。学費も安いしこれからの兄弟のことを考えればそっちの方がいいんだけど､その分プレッシャーだよね笑









｢あら？大貴じゃん．．．屋上でサボりとか悪い子だね｣









窓側の席｡ふと外を見てみると旧校舎の屋上に大貴の姿が｡1年前にあそこから飛び降りたって聞いた時は全身の血がサーっとひいて行ったのを覚えてる。









｢雄也、俺ちょっとサボるわ｣









雄也｢はぁ？また宏太に怒られても知らないよ？｣






｢大丈夫だって笑 まぁ先生には適当に理由つけといて｣









雄也｢ちょっと！慧！｣









大事な大事な弟くんが危険な場所にいるのに放ったらかしにはできません！笑．．．なーんてね









旧校舎に向かえば大貴はフェンスの向こう側をずっと見て、きっと誰が来ているってこのに気づいてるくせに振り向こうともしない。









｢なに？また死のうとしてんの｣









大貴｢うん｡多分｣








｢そんなに死にたい？｣






大貴｢うん｡だってつまんないし。無理して生きるなら死んで楽になりたい。．．．でもそんなこと誰も許してくれないでしょ？｣







｢許すわけないでしょ？｣








大貴｢だからさ､頑張ってるよ｡俺なりに笑｣









1回も振り向かずに淡々と話して､彼がどんな表情をしているのか全く分かんない。いつからだっけ．．．彼がこうなったのは｡









｢羨ましいよ．．．大ちゃん自由だもん。俺もそんな生き方したい｣









大貴｢なんもいいことないよ。こんな生き方．．．つまんないしさ､ってか授業戻んなくていいの？｣








｢大ちゃんは？｣









大貴｢もう戻るよ｡次の授業は受けるし。．．．慧も戻りなよ？｣









そう振り返った大ちゃんは久しぶりにふわっとした優しい笑顔を見せてくれた。

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