合唱《橙×緑》(2) ページ3
橙色side
「……もう来なそうだよな。
じゃあ、お願い」
「はいよ」
CDをかける。
するととしみつは一人で心地良さそうに歌いはじめた。
「お前、アルトだから……
俺ソプラノやるわ」
「ありがとう、助かる」
確かに、二人で歌うととしみつはぎこちない感じだ。そこが新鮮で面白い。
にやにやしてると、としみつが不機嫌な顔をしだしたのでやめた。
「うーん、ここはもう少し声のポリューム下げた方がいい。
ソプラノが目立たなきゃいけないから」
「なるほどな」
「俺の場合は声でかすぎんだけどね」
「ははっ」
目を細めて笑う。
……この時間!どうか続け!!
___
_
「……どう?」
「いい感じ。これで皆と合わせても自己主張が激しくなんないね」
「よっし!!」
放課後になると何回も練習をした。
音楽の時間と朝の練習、皆で歌うときも前と比べて歌いやすそうに見える。
「いよいよ明日か」
としみつがスマホのカレンダーを見ながら言う。心なしか緊張しているようだ。
「……なぁ」
「なに?」
「俺の教えた成果が出たら」
「うん」
「つまり、コンクール金賞を掴んだら」
「なんだよ、溜めてないで早く言えって」
これはいい機会でもあった。
自分の想いを伝えられる、最後のチャンスであると自分に言い聞かせて。
「ずーっと、側で歌っててくれん?」
13人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:にゃ | 作成日時:2019年5月18日 0時