降谷零の上司 2【名探偵コナン】 (ページ33)

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「ｯ.......」

ざらりとしたかさぶた独特の感触。

広範囲でまだ痛々しい。

「.......痛くないですか？」

『うーん、そんなに』

「嘘つき、」

『え？.......いっっだ！』

少しだけ押してみると痛がるAさん

「痛いんじゃないですか」

『強く押すからでしょ！？』

「そんなに強く押してませんよ？」

もー、といいながら髪の毛を直し始める。

「.......心配してるんですよ」

『ん？』

「.......気づかないうちに怪我したり、居なくなったりしそうで」

『.......降谷？』

本当はこんなこと言うべきじゃないのは分かっている。
公安としてこの国の為に命を捧げる覚悟はてきている人に言うべきじゃない。

でも、貴女だけは。

「.......死なないでください。僕の前から居なくならないで。」

『.......』

するとAさんは眉を下げて困ったように笑った。

『.......それは、どうかなぁ』

「っ、」

『私はこの国の為になら死んでも構わないもん。私に何かあったら.......よろしくね。』

「.......」

そろそろ行こうかな、と言って椅子から立ち上がって出口に向かっていく。

僕はぐっとAさんの手首を掴んで自分の方に引っ張った。

僕の胸に飛び込むような形になるAさん。

『ふ、ふ、降谷！？』

「.......貴女だけです。」

『え？』

「Aさんだけが僕達と同じラインに立って立ち向かってくれた上司は。」

僕達、つまり公安の仲間たち。

「引っ張るリーダーが居なくなった途端、集団は崩壊するんです。

だから貴女を先に死なせるなんてありえませんから。」

せめて、せめて、貴女だけは居なくならないでくれ。