【文スト】 名探偵ノ恋事情 【江戸川乱歩】

恋事情 25 ページ29

お洒落で真新しいドアを手前に引く。

中にはいると、直ぐに給仕さんが来て、

席へ案内してくれた。

太宰さんは、

先刻感じた無事につけるかという不安とは裏腹に

驚くほどまともで普通だった。

いや、本当に、

そんなことを考えていると、太宰さんが話しかけてきた。

「ねぇ、Aちゃん、今日のコレは、

乱歩さんを嫉妬させるためかい？」

何故知ってるのか少し疑問だが、

おおかた、ナオミちゃん経由だろう。

『はい、まぁ、そうですね。

単純にケェキが食べたかったというのも有るんですけどね、』


私がそう答える、太宰さんは、

「ふーん、じゃあ頑張ってね、」

太宰さんはそう言って意味深に笑う。

その顔を見ると、なんか乱歩さんに似ているなっと思ってしまう。

そして、無性に嫌な予感がするのは気のせいだろうか、

いや、気のせいだと思いたい。

・

・
そんなたわいもない話をしているうちに、

カフェラテとケェキが運ばれてきて、

そのケェキは超がつくほど美味しかった。

そのあとも、

太宰さんと色んな所をまわり、

日暮れ前に別れ、家路につく、

明日、乱歩さんは、私の話を聞いて嫉妬してくれるだろうか、

そんなことを考えて家の前まで来ると、

思ってもいなかった光景を目にした。

・

・

と、言うのは、

乱歩さんが家の前に立っているのだ。

しかも、

すこぶる不機嫌な顔をして………

恋事情 26→←恋事情 24

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す