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「あんたの目って節穴だったりする?」
羽「すいませんっ!」
ナイフのような冷たく鋭利な目線に、思わず手を離した。
「...優しくて完璧なAさんじゃなくてがっかりしてる?」
彼女は顔色一つに変えずにそう言う。
羽「びっくりはしてる」
「みんなに言う?」
羽「言わない」
「...そう」
そしてそのまま滑り始める。
姿勢が綺麗...軸も細いし、踏み切りも力強い。
ジャンプは迫力があって、ステップは軽やかで、スピンは美しい。
Aさんは見ている俺に何も言わず、演技を続けた。
.
「いつまで見てんの。もう帰るけど」
羽「いつもこんな時間までやってんの?」
「日によってもうちょっと長かったり短かったりするけどね」
そう言いながら、スケート靴を脱ぐ。
羽「...Aさん、すごいね」
「どうも。あなたにかは叶わないわ」
ノービスの時からずっと、ね。と彼女は小さく呟いた。
羽「ノービスから俺のこと知ってんの?」
「さぁ?」
彼女は意地悪に笑う。
今までのどの笑顔よりも美しかった。
羽「俺も、たまに遅くまで居ていい?」
「あなたも結構やってるでしょ。好きにしたら」
あなた、か。なんかむず痒い。
羽「ね、名前で呼んでよ」
「なんなのあんた...いいけど、結弦?」
羽「ありがと。A」
俺は心が暖かかった。
緩みかけた頬を、必死におさえることに必死で。
終わり ログインすれば
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琥珀糖(プロフ) - ぬさん» リクエストありがとうございます。とても素敵なネタですね!頑張って書きます。これからもよろしくお願いします。 (2018年4月1日 22時) (レス) id: da50392b08 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀糖(プロフ) - astroyuzさん» コメントありがとうございます。主の性格には特に気を付けましたので、そう言って貰えると嬉しいです!これからもよろしくお願いします。 (2018年4月1日 22時) (レス) id: da50392b08 (このIDを非表示/違反報告)
ぬ - 昌磨君と幼なじみのスケーターさんでエキシビで昌磨君にプロポーズされる小説お願いします (2018年3月30日 8時) (携帯から) (レス) id: b271d24507 (このIDを非表示/違反報告)
astroyuz(プロフ) - 男主のお話がとても好きです。いい男なんだろうな、と楽しく拝読いたしました。ヒロイン嬢もおかわいらしく、癒やされました。この先の更新も楽しみにお待ち致しております。 (2018年3月28日 11時) (レス) id: afb95e6422 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀糖(プロフ) - なほなりさん» コメントありがとうございます、気付くのが遅れて申し訳ございません!そう褒めてもらえるととても嬉しいです!これからよろしくお願いします。 (2018年3月16日 17時) (レス) id: da50392b08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:琥珀糖 | 作成日時:2018年2月25日 22時