1 0 3 号室の 2 人【A3】 (ページ10)

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10.衣装係ページ10

side.you

｢...仕方ない。ここは奥の手｣

ミシンを止めて、今作って衣装を持って部屋を出る。
向かう先は夏組の幸の部屋。

.

数回ノックをすると、向こうから返事が返ってくる。
天馬か。

｢幸居る？｣

幸｢居る｣

部屋の奥でテーブルに向かっていた幸は、なに？と俺を見た。

｢ここの処理の仕方わかんなくて聞きたいんだけど...今大丈夫？｣

幸｢あぁ、いいよ｣

そう言って幸は事細かに教えてくれる。
他のところもアドバイスしてくれたり、とても助かった。

天｢お前も衣装作ってんだっけか｣

そういえば、と天馬は話し掛けてくる。

｢まぁ俺はデザインは出来ないけどな｣

天｢ふぅん。なんだっけ、こす...｣

｢コスプレイヤーな｣

幸｢ちょっともやしレイヤー、ちゃんと見てんの？｣

｢もやっ、それやめてって〜！見てなかったのはごめん｣

もやしレイヤー。

わりとグサッてくる。誰がもやしだ、俺か、知ってた。

幸｢だからこうすればいいの。わかった？｣

｢バッチリ。ごめんね、衣装案練ってたんだろ？｣

幸｢いや、行き詰まってたからちょうど良かった。いい案も浮かんだし｣

幸はそう言ってふわりと笑う。
笑顔は年相応なのに、如何せん口がな...

｢また衣装手伝うから、なんかあったら呼んで｣

幸｢はいはい。じゃ｣

幸はまたノートに向かい、俺は天馬に一言声を掛けてから部屋を出た。