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琥珀、帰還。 ページ32
月山富田城。
「......」
足音を立たせながら敷地内に入っていった琥珀。優が琥珀を見送ったあの夜から、日の出が昇ってしばらくのときであった。
「あ！ お帰りなさいっす琥珀様ぁ！」
「......おかえりなさい」
何も知らない桜達は門前で琥珀を出迎えた。
「......琥珀様......？ ......大丈夫か？」
だが疾風だけは琥珀の異常に気付いていた。
琥珀が下を向きながら屋敷の縁側を歩いていき、その後ろを疾風と桜が心配そうに着いてくる。疾風が「桜......」とこそりと話しかけようとしたとき、疾風と桜の間を通り過ぎ琥珀を後ろから突然抱きしめるものが居た。
「どーこ行ってたんだよ琥珀ゥ！」
「おまっ！？」
その正体を見た疾風は思わず突っ込んだが、琥珀は突っ込む気力も無いようで、只一言「同盟を組みにな......」と発した。
「確か今度は大友だったっけ？」
桜同様何も知らない様子で巴房は未だ琥珀を抱きひしめている。琥珀はやっと気力が戻ってきたようで、今まで通り返事をした。
「......あぁ。九州地方は大友に任せる事にした」
「このまま毛利を滅ぼし、天下を晴久様に取らせ......」
なにやらぶつぶつと言い出した琥珀を、桜は覗き込んだ。
「......琥珀様......？」
それを聞いてはっとした琥珀は、桜達を振り返る。
「......すまぬ。暫し、一人にせよ......」
「お、おう......」
流石に何かがおかしいと気付いた巴房は、回していた腕を離す。そうして、琥珀はその場から去って行った。琥珀の去った先を見ながら、巴房は眉を下げる。
「......どうしたんだぁ？ 琥珀の奴......」
「ホントっすよね......」と、それに桜も同調する。
そんな中、疾風だけが一瞬、琥珀を怖く思ったのであった。
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琥珀‐KOHAKU-(プロフ) - 感想やアドバイスなど、ご自由にご記入ください！できるだけ返事をいたします。 (2019年10月7日 1時) (
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作者名：琥珀‐KOHAKU- | 作成日時：2019年10月7日 1時
