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安芸 ページ30
吉田郡山城。
月の差す門の前で、琥珀と優は並んで仁王立ちをしていた。琥珀は息を吸い込み、呼びかける。
「裕也！裕也は居るか！」
数秒もしないうちに気だるげに出てきた裕也は、優の姿を見た途端に目を丸くした。
「ゆ、優！ 優なのか！？」
「お兄ちゃん！」
優は未だにびっくりしている裕也に飛びつき、抱きしめた。裕也も優を抱きしめ返す。その様子を見ていた琥珀の気配に気付き、裕也は琥珀の方を見る。
「あっ、取り乱してしまい、申し訳ない。今日はどうした？」
「優が、貴様に逢いたいと申すのでな。我はその要望を聞き入れたというわけよ」
「えへへー」と言う優の頭を撫で、「弟のためにありがとう......」と裕也は言う。
「きぃはいいのか？」
「......逢わずとも、あやつの調子など容易に分かるわ」
「......ははは......。今柊と一緒だろうよ」
大人の会話に、優は小首をかしげる事しかできなかった。
「琥珀姉、ありがとう！！」
優が琥珀＿＿＿＿＿恩師に向かって大きく頭を下げ、これまで見せた事の無いような笑顔を見せた。
「......礼には及ばぬ......。どうする優。このまま豊後国まで帰るか、毛利軍に入り兄と任務を遂行するか」
それを聞き、優は盛大に迷った。うめき声を上げながら琥珀に向く。
「琥珀姉ってさ、お兄ちゃんとどういう関係なの？」
豊後に行くかと思っていた琥珀は、思わぬ質問に動揺した。だがすぐに冷静になり、冷めた目で優と裕也を見る。
「......敵同士、ぞ」
「......そう、なんだ......」
それを聞き、優はもっと悩んだが、やがて小さな声で「お兄ちゃんと一緒に居る......」と言った。
「後者か......」
琥珀が呟くと、優は顔を上げた。
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琥珀‐KOHAKU-(プロフ) - 感想やアドバイスなど、ご自由にご記入ください！できるだけ返事をいたします。 (2019年10月7日 1時) (
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作者名：琥珀‐KOHAKU- | 作成日時：2019年10月7日 1時
