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井の中の蛙 ページ28
＿＿＿＿＿その後、尼子と大友の同盟は無事成立し、琥珀はやっと暇ができた。身支度をしながら琥珀は顔を上げた。
「疾風。晴久様に帰りが遅くなると知らせておけ」
「はーい」
そして後ろに居る優を振り返る。
「......優。準備はできたか」
「うん！」
「では行こうぞ。目指すは安芸故海を越えることになる」
そう説明してやると、優は始めて知ったかのように「わぁ」と言った。
そこで琥珀は疑問に思った。伊賀の里からここへ来たのなら、必ず海を通らなければならなかったからだ。優には何かあったのか、少し気になった。
「......船の手配はしてある。早に向かおうぞ」
「うん！！」
ここは本州と九州をつなぐ航路の上。
波に揺られる小船のへりに優と琥珀が二人並んで、静かに海面を眺めていた。そこに、琥珀が視線を外さずに優に話しかけた。
「して、優よ」
「ん？」
「貴様は、海を見た事があるか」
「......ない」
「......そうか。我もだ」
「まぁ、我の場合は豊後国に来る時に見たがな」とつなげながら、琥珀は続けた。
「......綺麗であろ」
優は琥珀の言葉をなぞるように「......綺麗」と言った。
「......まだ早い質問だとは思うが......優。貴様は海の藻屑になる覚悟はあるのか」
「......？」
いまいち言っている意味が分からなかった優は困り顔で琥珀を見た。
「......少し、難しかったな」
どこか憂いを帯びた顔を優に見せた琥珀は、再び続ける。
「死ぬ覚悟はあるか、と我は問うておる」
意味を知った優は、琥珀から目線をずらし「......どうだろう」と言った。
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琥珀‐KOHAKU-(プロフ) - 感想やアドバイスなど、ご自由にご記入ください！できるだけ返事をいたします。 (2019年10月7日 1時) (
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作者名：琥珀‐KOHAKU- | 作成日時：2019年10月7日 1時
