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手合せ ページ21
「......暇だな。あ、そうだ」
柊が言うと、きぃは頭にはてなを浮かばせながら柊の方を見た。柊はきぃと裕也を交互に見る。
「きぃ、裕也。手合わせしよう」
「......いいよ」
「はい!」
少し間が空き、二人は了承した。
辺りに鉄と鉄のこすれる音がする。
柊の提案で、手合わせをすることになったきぃと裕也。
「......っく......」
依然、全員が引き分けの状態であり、皆息が上がっていた。
「ハァッ......ハァッ......」
「......はぁ......」
柊の額に浮かんだ汗が下に伝い、柊の顎から滴り落ちた。その雫が地面に付いた瞬間、柊が二人に向かって突進していった。
「......!」
「おぉぉぉぉ!!」
「あぶなっ!?」
柊はまず裕也に向かい、裕也に斬りかかった。だがしかし、裕也は寸前で避け、柊から距離をとった。
「......ハァー......」
「......」
柊は、二人に背を向けないように注意しながら、体力を蓄積しようとした。そこに......右側から、突然きぃが刀を振りかざしてきた。
「フッ!」
「うぉっ!」
柊はまだ体力が貯まっておらず、飛び退けようとしていたところに袴を踏んで、その場に転げ落ちた。きぃは柊の喉元に刀を向け、勝負ありと示した。
「......スキありだね」
しかし、柊ときぃは、もう一人居た事を忘れていた。
「......」
頭上からガサッと葉が擦れる音がし、上を向く間もなくきぃの首には冷たいものが当てられていた。裕也が後ろこらきぃを刀で押さえつけているのだ。きぃは動けない。
(......油断した......)
すると、裕也はパッと刀を外し、鞘に収めた。
「......きぃ。残心、忘れないでよ」
柊が注意をした。
残心とは、日本の武技で、攻め技の直後も敵に備えて保つ(=残)心の構えである。うっかり忘れていたきぃは思わず「ハハハ」と笑ってしまった。
「勝負あり......」
裕也が木から飛び降りて笑った。
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琥珀‐KOHAKU-(プロフ) - 感想やアドバイスなど、ご自由にご記入ください!できるだけ返事をいたします。 (2019年10月7日 1時) (レス) id: 7c741c0c9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:琥珀‐KOHAKU- | 作成日時:2019年10月7日 1時