同郷 ページ3
『キィン！』
しかし、きぃの刀は琥珀の心の臓の前で防がれ、その間に間を取られた。
次の瞬間、琥珀は一瞬静止し、また再びきぃに向かって斬りかかった。
「......！」
その速度は速すぎて太刀筋が見えない程だった。
＿＿＿＿＿私、ここで死ぬのかな＿＿＿＿＿
そう覚悟し、きぃは目を掠めた。
「......」
僅かに見える視界から、琥珀の僅かに上がった口角が見えた。
......と、その時。
『キィィン......！』
「......？」
鉄と鉄が擦れる音がした。
戦意を無くし、刀も離しかけていたきぃに、あの刃が防げるはずがなかった。
では、一体誰が......？
不思議に思い、きぃはゆっくりと瞼を上げた。すると＿＿＿＿＿
目の前に、広い背中があった。
「......え」
何度も見たことのある、とても広い背中。
「......どうして......」
その背中の持ち主を確かめる為にきぃが横から顔を覗く。
そこにあった顔は、やはり柊のものであった。
柊はゆっくりと口を開いた。
「......間に合った......」
「......！！」
「チッ......」
あからさまに舌打ちをかました琥珀の方へ目を向けたきぃは、眉を下げた。
「姉......さん？」
......きぃが気落ちしている理由は、他にもあった。きぃと琥珀は、実の姉妹であった。きぃが少し手を抜いたとはいえ、琥珀は自分の妹を平気で殺そうとし、あまつさえ僅かに笑っていたのだ。
琥珀は一旦その場から四尺ほど離れてから、瞬時に体勢を立て直した。
「悪いが......そいつの首は我が頂く......！」
琥珀はそう言い、刀をカチャッと構えた。
「......」
柊はその言葉を聞き、琥珀の方へゆっくりと歩いて行った。きっと、許せないのだろう。
『ザッザッザッ』
「柊！？」
そして柊はその歩幅を段々短くし、最終的に本気で走って行った。
「！？」
琥珀は柊の攻撃に備え、すかさず刀を構え、柊の方へとその刃を向けた。
柊はさっきまで持っていた刀を何故か上空に投げ飛ばし、そのまま琥珀の方へ突進していく。
恐らく、琥珀の持っている刀を奪う気なのだろう。
「おい！？」
「血迷ったか......」
「戻ってこい！」
「Aに顔が立たないような戦果を持って帰るわけにはいかないんだろ！？」
元々きぃ達四人は同じ地の出身で、特殊な理由があって遠く離れたこの安芸と出雲の国に流れてきたのであった。
なので、全員お互いの顔をよく見知っていて、簡単に刀を向けることは出来ない筈であった。
......敵同士でなければ。
(......もう、あの頃には戻れないのか)
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琥珀‐KOHAKU-(プロフ) - 感想やアドバイスなど、ご自由にご記入ください！できるだけ返事をいたします。 (2019年10月7日 1時) (
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作者名：琥珀‐KOHAKU- | 作成日時：2019年10月7日 1時
