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誰かの記憶 ページ16
琥珀達は障子を開け放ち宴会場の中に入った。目の前に広がったのは、酔いつぶれた兵の皆々が倒れこんで寝ている光景であった。起きている者はいることにはいるが、かなり酔いが回っているのか、女中を引き寄せていたり、酒の一気飲みをやっている者もいた。
「おーやってるやってるぅ......」
「......」
巴房はその光景をまるでいい景色でも見るかのような目で眺める。
疾風は(もう見ていられない)と、顔を横に向けた。すると、顔を青ざめた琥珀が目に入った。
「......どうかしましたか？」
「......」
「......大丈夫ですか？」
疾風が琥珀に近付くと琥珀の口からわずかに声が聞こえた。
「さ、さけ......くさ......」
そのまま琥珀は、その場に倒れこんだ。
「おい！？」
疾風は急いで琥珀を支える。
(やっぱりこうなるとは分かってたんだけど......はぁ......)
「琥珀様の部屋に連れてくわ......」
「あ、なら俺が運ぶ」
「......分かった」
珍しく巴房が反応したので少々びっくりしながらも琥珀を巴房にそっとあずける。老人でもあるまいに巴房はよっこいせと言いながら琥珀を背負った。
と、巴房は思い出したかのように疾風に命を下した。
「疾風。宴会場の外で倒れてる奴いねえか探してきてくれ。主に厠辺り」
「了解」
琥珀の部屋に着き、疾風に準備をしてもらった布団に琥珀を寝かせる。
「いやまさかキツイ酒のにおいだけで倒れるとは......どんだけ弱ぇんだよ......」
とぶつぶつ言い出す巴房に、任務から帰ってきた疾風が「しょうがないだろ？」と反論する。
「お、どうだった？」
「廊下に三人、台所に一人、厠が五人。合計で九人見つかった。全員とりあえず応急措置をしてから宴会場に戻しておいた」
「よくやった」
巴房が疾風に礼を言うと、突然巴房の身を強烈な眠気が襲ってきた。
「......ふぁ、俺もなんか眠くなってきたなァ......」
「......寝るか？」
疾風はさっと布団を用意する。
(移動すんのも面倒だからもうここで寝ちまうか......)
「おやす......み......」
疾風の用意した布団に身を寄せ、まるで魂が抜けたかのように眠り込む巴房。疾風はそれを見て「......あらら」と声を上げる。
「......俺も寝るか......」
普段ふざけ半分の気分で任務をこなしている疾風。今日もふざけ半分で二人の横に雑魚寝する。
その日は、まるで前日の毛利軍の一室で見た光景とおなじ光景が尼子軍にて見れたとか見れなかったとか。
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琥珀‐KOHAKU-(プロフ) - 感想やアドバイスなど、ご自由にご記入ください！できるだけ返事をいたします。 (2019年10月7日 1時) (
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作者名：琥珀‐KOHAKU- | 作成日時：2019年10月7日 1時
