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毛利の忍 ページ13
次の日。
毛利軍は今日も平和......ではなかった。
今日は、安芸の領主毛利元就とその重臣たちとで大規模な軍議があるので、重臣に仕えているきぃ達は城内から外に出ることはできなかったのである。
「......」
城下町に出ることもなければやることもないので、きぃは一人寂しく部屋で折り紙をやっていた。
そこに、部屋の障子がすっと開かれ、外から柊と一人の忍が入ってきた。呆然とするきぃの姿を見るなり、柊は喋り出す。
「おっ、折り紙か。楽し......くなさそうだな」
「......暇なんだもん」
きぃは退屈そうにそう言った。と同時に、柊の後ろにいる忍の事も気になった。
「えっと......そちらは......?」
きぃが怪訝そうに訊くと、柊は後ろの忍を前に出した。
「こいつは裕也。ちょっと前に来た忍なんだ」
「へぇー......」
きぃはそう返した後、大きくあくびをした。
「何だ、眠いのか? ......あーそうか。前に俺の執務に協力してくれてから、睡眠時間が延びていないのか。寝ていいぞ。どうせ暇だしな」
「うん。そうす、る......」
最後まで言い終わらぬうちに、きぃはその場に倒れこんで寝てしまった。倒れた時すごい音が聞こえたので、裕也が近寄りそっと声をかける。
「だ、大丈夫ですか?」
返事がないので耳を近づけてみると、静かな寝息が聞こえてきた。どうやら無事らしい。裕也は立ち上がった。
「うん。暇をもてあまして一日潰れるくらいなら、昼寝をして体力を蓄えたほうがいいからな」
「なるほど......」
柊はそう言いながらきぃの髪をやさしく撫ではじめた。
「......ん......」
声を漏らしながら頬を緩ませるきぃの子猫のような反応に、思わず柊は裕也の方を向き、こう言った。
「......きぃって可愛くね?」
だが裕也はその勢いにとりあえず「そ、そうですか......」と返すしかなかった。
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琥珀‐KOHAKU-(プロフ) - 感想やアドバイスなど、ご自由にご記入ください!できるだけ返事をいたします。 (2019年10月7日 1時) (レス) id: 7c741c0c9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:琥珀‐KOHAKU- | 作成日時:2019年10月7日 1時