今日:20 hit、昨日:1 hit、合計:2,145 hit
小|中|大
琥珀の想い―弐 ページ12
「あそこで落胆しておる者が居るであろう。彼奴等ぞ」
そこには確かに、何人かの兵が座り込んで下を向いていた。
「ほんとだァ......なぁにやってんだろうかねぇ......」
「大丈夫なのか......?」
二人がそう言っていると、琥珀が再び話し出した。
「彼奴等は、飲むに飲めぬ者共ぞ。......幾日か前の毛利や山名との戦にて死んだ者。その者等の友ぞ」
琥珀がそう言うと、二人は顔を少し苦くした。
「......我が仮に飲めたとしても、彼奴等のことを思うととても飲めるとは思えぬわ」
「まぁ、それはそうだろうな......」
「生き残っても、友が死んじまえばそれまでだよな。もう戦う気なんて起きねえだろうよ」
そう言って巴房は、もう一口酒を飲んだ。すると忍の方が下を向き、口を開いた。
「また、戦う日が来るんだろうな......いつかは......」
それを聞くと、巴房が盃の内にある酒を見つめながら話した。
「......それが乱世だ。仕方ねぇさ」
琥珀は目の光を消し、静かに一点を見つめていた。黙りこくる琥珀に心配そうに忍が声をかけた。
「......琥珀さん?」
忍に声をかけられた琥珀は、はっと目に光を戻し、返事をした。
「......否、何もない」
言い終わった後、琥珀は二人の顔を見上げ、眉を顰めた。
「それより......いつまでここにいるつもりだ。ここはつまらぬ。早に宴会場に戻れ」
「......我を、暫く一人にしろ。疾風、巴房」
名を呼ばれた疾風と巴房は、それぞれの返事をしてその場から立ち去り、大人しく宴会場へと戻っていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
4人がお気に入り
4人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
琥珀‐KOHAKU-(プロフ) - 感想やアドバイスなど、ご自由にご記入ください!できるだけ返事をいたします。 (2019年10月7日 1時) (レス) id: 7c741c0c9f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:琥珀‐KOHAKU- | 作成日時:2019年10月7日 1時