僕らは....番外編その4 ページ39
着替えていると、いきなり紅蓮が聞いてきた。
「冬夜。なんで今日、会議を延期させてまで僕をここに来させたかったの？」
「無愛想な紅蓮の接客姿が見たかったからな。楽しみにしてるぞ？会長さん」
こういうと、紅蓮はそっぽを向いて小声で「冬夜より上手にできる」と言った。
始まる前に、ある程度の説明を受けて、接客の練習をすることになった。
俺は猫をかぶるというか、人の対応は出来る。むしろ得意なほうだ。
しかし、隣の親友はそうは行かなかった。
「い、いらっしゃいませ」
「う〜ん。紅蓮君、表情が硬いね。もっとやわらかく、いつもみたいにさ」
紅蓮は親しい人には少し表情が柔らかくなるが、普段は硬い。ここでも、そういう面が出てきてるのだろう。
「さ、紅蓮君。もう一回練習してみよう」
「さ、会長。もう一回練習してみろ」
紅蓮から睨まれた。マスターはよくて、俺はだめなのか。
「後で覚えておいて、冬夜」
「先に無愛想って言ったのはお前だ」
というと、紅蓮はうっと押し黙った。こういうのはわりと気分がいい。
こんなことをやっていると、開店時間になった。いらっしゃいませと元気な声が店に響き始めた。
忙しい時間帯が過ぎ、、少し店の中が落ち着き始めた頃……。
「二人とも、休憩入っていいよ。この時間は人が少ないから一人で大丈夫。まかないを作ったから、裏で食べておいで」
俺たちは「わかりました」と返事をして、カウンターの上においてある、サンドウィッチを持って裏に行った。
「冬夜、何でそんなに楽しそうなの？」
紅蓮が疲れた顔で聞いてきた。
「そりゃ、普段完璧な会長様が接客が苦手なんて思ってもいなかったからな。見てて飽きなかったぞ」
紅蓮は、もう参っているような顔をしていた。正直、紅蓮の接客はそれほどおかしくはなかった。ただし、表情を除いて。
台詞は完璧なのだが、表情が硬いせいで苦労していた。しかも、それを一番自覚しているのは紅蓮自身だった。
食事を終えて、俺は紅蓮に、
「まだ午後もあるんだから、しっかり休んどけよ？」
というと、紅蓮は「ん」といって、テーブルに突っ伏していた。
肉体的に疲れたというより、精神的に参ったというところだろう。
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peromi0111(プロフ) - すごく良かったです！またこういう風なのをたまに作っていただけたら嬉しいです！他の更新も頑張ってください！ (2017年3月15日 19時) (
レス) id: 457e21537c (このIDを非表示/違反報告)
柊黒炎(プロフ) - peromi0111さん» コメントありがとうございます。弱ペダの小説ばかりを書いていて、こちらを更新するのを忘れていました....今から少し載せますね！！ (2017年3月12日 22時) (レス) id: 09ba59755e (このIDを非表示/違反報告)
peromi0111(プロフ) - 更新再開してほしいです！頑張ってください！ (2017年3月12日 22時) (レス) id: 457e21537c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柊黒炎 | 作成日時：2017年1月23日 1時
