フラッシュバック ページ8
山岳「この大会、俺と東堂さん出るんだ!あと一人は福富さんが交渉中なんだって」
「そう....なんだ」
山岳は僕がこのレースに福富から誘われていることを知らないみたいだ。
まぁ、未だに返事は保留にしてあるし、参加するかどうかもわからないから、他の自転車部の部員には伝えていないんだろう。
山岳「ねぇ、A。出来たらさ、このレースを見に来てほしいんだ。駄目、かな?」
「........」
僕は山岳の誘いを即答することは出来なかった。
「やっぱり、無理、だよね....。Aは高校生になってから、自転車も乗らなくなったし....ねぇ、A....なんで、自転車に乗らないの?」
「........」
山岳、それ以上....話さないでほしい。
自転車の話はもう、嫌なんだ....。
「なんで、黙ってるの?A....A、お兄ちゃん」
「ごめん....」
「ううん、大丈夫だよ。それじゃあ、俺....帰るね。お邪魔しました」
バタン
「....本当にごめん....山岳....」
僕は山岳から貰ったレースのチラシをグシャグシャにしては、そのチラシをゴミ箱に入れた。
山岳の言う通り、君とは1、2年ぶりにちゃんと会話をした気がする。
僕は君と目を合わせて、話せてたかな?
僕はちゃんと笑えてた....?
『こんばんは、如月Aです。レースのお誘いですが、今回はお断りします』
と、福富にメールをして、僕は声を押し殺しながら静かに....泣いた。
山岳と話していると、あの事件のことがフラッシュバックする。
思い出したくもない過去。
小学生の頃から大切にしていたロードバイクは、今も物置部屋に閉まってある。
今の僕には一体、何が残されているんだろう?
天才的な頭脳?でも、学年主席になるために僕は血の滲むような努力をした。
だから、天才的な頭脳はない。
じゃあ、才能?
....そうか、才能は中学の頃に無くしたんだった。
僕の才能と引き換えに山岳の怪我は嘘のように治った。
残されたもの、か....。
そんなことを考えながら、僕は泥のように眠った。
僕の動き出した時間は、また止まってしまった。
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柊黒炎(プロフ) - 異名さん» 異名さん、コメントありがとうございます。しかし、異名さんとこうして話すのは初めてなので、見間違いと言われてもお答えすることは出来ません。申し訳ないです。応援コメントなどは有難いのですが・・・ (2017年7月19日 16時) (レス) id: efc399b360 (このIDを非表示/違反報告)
異名 - 冷酷の魔術師って、星空永遠って、聞いたことあるな~?私のみ間違いかな? (2017年7月19日 15時) (レス) id: 0262f2c5b7 (このIDを非表示/違反報告)
柊黒炎(プロフ) - ☆★☆★☆さん» 返事が遅れてすみません。そういってもらえると、とても励みになります。更新頑張りますね! (2017年6月9日 14時) (レス) id: efc399b360 (このIDを非表示/違反報告)
☆★☆★☆ - この小説とても面白いです。お世辞とかじゃなくて本当に面白いので、更新頑張ってください。 (2017年5月30日 16時) (レス) id: 08f2b5cf74 (このIDを非表示/違反報告)
柊黒炎(プロフ) - 左京さん» そこまで褒めていただき、ありがとうございます!そういえばプロフをチラッと見たのですが、中学生なんですね!高校受験頑張ってくださいね!! (2017年3月10日 21時) (レス) id: 09ba59755e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊黒炎 | 作成日時:2017年1月17日 2時