親との距離 ページ32
あっという間に放課後になり、僕は山岳が今日も僕の手料理が食べたいと言ったので真っ直ぐ家に帰宅し、夕食の準備をしていた。
《Aへ。今日の仕事も遅くなりますので食事は自分で作ってください。母より》
「....ただいま」
母が書いた手紙にただいまと言う。
返事は返ってこないとわかっている。
父は僕が幼い頃に他界し、母一人で僕を育ててくれた。学生である僕の学費を払うため、朝も夜も休むことなく仕事をしている。
それが申し訳なくて、僕は中学3年の頃に自分で書いた小説をネットにあげた。
するとある出版社の目に留まり、僕は見事作家デビューを果たした。
今では高校に通いながら、作家活動をしている。
山岳からは生徒会に作家活動に学校にと多忙じゃないの?とよく聞かれる。
だが、学校に朝から行くのは学生として当然だ。それは生徒会長であるなら尚更。
作家活動も趣味を仕事にしていたいと昔から考えていたので苦痛ではない。
確かに多忙で休息をとりたいと考えていないか?と言われると休息は欲しいし、自由に遊びたいとは思う。
しかし、それ以上に生徒会長をしている時や作家活動をしている時は何かをやり遂げたという達成感などを感じるため、結論としては多忙だがそれを成し遂げた達成感があるため苦痛とは感じない、だ。
「....!」
ピンポーンとインターホンの音が聞こえた。ふと時計に目をやると、既に19時を回っていた。
ガチャ
僕は山岳だと思い、ドアを開けた。
真波「ただいま、Aお兄ちゃん」
「....おかえり、山岳」
案の定、扉の向こうには山岳が居て、互いに挨拶を交わした。
真波「Aお兄ちゃん、なんだか悲しそうな顔してるけど....何かあった?」
「え....ううん、何でもない」
山岳と挨拶を交わしたと同時に、親の書き置きの手紙のことについて少し考えていた。
最近では母と会話をすることすらほとんど無く会う機会も少なくなっていた。
だからこそ、山岳とのやりとりがなんだか懐かしく感じたのだ。
それと同時に親との距離を感じた。
「今日の夕食はハンバーグだから」
真波「ほんと!?俺、Aお兄ちゃんの作るハンバーグ大好きだから楽しみだな」
「山岳、それ昨日のキーマカレーでも言ってた気がする」
真波「だってAお兄ちゃんの作るものだったら何でも美味しいもん」
「ん、ありがと」
今は親のことより、目の前の可愛い弟のことを優先しよう。
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柊黒炎(プロフ) - 異名さん» 異名さん、コメントありがとうございます。しかし、異名さんとこうして話すのは初めてなので、見間違いと言われてもお答えすることは出来ません。申し訳ないです。応援コメントなどは有難いのですが・・・ (2017年7月19日 16時) (レス) id: efc399b360 (このIDを非表示/違反報告)
異名 - 冷酷の魔術師って、星空永遠って、聞いたことあるな~?私のみ間違いかな? (2017年7月19日 15時) (レス) id: 0262f2c5b7 (このIDを非表示/違反報告)
柊黒炎(プロフ) - ☆★☆★☆さん» 返事が遅れてすみません。そういってもらえると、とても励みになります。更新頑張りますね! (2017年6月9日 14時) (レス) id: efc399b360 (このIDを非表示/違反報告)
☆★☆★☆ - この小説とても面白いです。お世辞とかじゃなくて本当に面白いので、更新頑張ってください。 (2017年5月30日 16時) (レス) id: 08f2b5cf74 (このIDを非表示/違反報告)
柊黒炎(プロフ) - 左京さん» そこまで褒めていただき、ありがとうございます!そういえばプロフをチラッと見たのですが、中学生なんですね!高校受験頑張ってくださいね!! (2017年3月10日 21時) (レス) id: 09ba59755e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊黒炎 | 作成日時:2017年1月17日 2時