僕は坂嫌いの元クライマー 【弱虫ペダル】

叶うことのない夢 ページ3

「山岳....ごめん、僕のせいで本当にごめん」

山岳「ううん、Aお兄ちゃんのせいじゃないから気にしないで。僕が飛び出したのが悪いんだよ」

「....っ....」

小さなレースの大会が終わってからすぐに山岳が僕の走りが見たいと言った。
ゴールで待ってると言っていたので、僕は普段通りにペダルを回した。

ゴールが見えたと思った時、僕はレースと同じようにスピードをあげた。

その時、山岳がゴールの近くにいることを一瞬でも覚えていれば、こんなことは起きなかったのだろうと今でも後悔している。

「....山岳、危ない！！」

ゴール付近にいた山岳と僕の自転車が接触、ドォーンという大きな音があたりに響き渡った。

自転車から落車した僕、そして僕の自転車と接触した山岳。

....どちらも無傷なわけがなかった。

全治1ヶ月、それが僕が完治するまでの期間だった。リハビリをして、家で身体をゆっくりと休ませていれば簡単に治る怪我だ。

だけど、山岳の怪我はそうはいかなかった。
山岳の怪我は重症で、怪我が完治したとしても、激しい運動などは出来ないと主治医からは告げられた。

....僕のせいだ。僕のせいで山岳の全てを奪った。
僕は何度も自分を責め続けた。

しかし、山岳は「Aお兄ちゃんは悪くない」と言った。
山岳の優しい言葉が僕には逆に突き刺さった。

坂なんか嫌いだ....自転車なんて、もう乗りたくもない。
山岳を傷付けるモノ、それは僕にとっては必要ないもの。

「高校のインターハイで一緒に走る」
その夢は叶うことはなかった。

僕は山岳の側に居ない方がいい....きっと箱根学園に行けば、僕よりも速い選手は沢山いるだろう。

そうすれば僕のことなんか忘れてしまうだろう。
だからこそ、僕は神に願った。

「僕の才能と引き換えに、山岳の怪我を治してください」と。

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