その直後 ページ33
×
「うえー」
「じっとしてて。さあ、これで汗もひくだろう。このうちどれかがけいれんに効くはずだ。」
「流石ね、ニュート」
「…え？き、君に褒められるなんて光栄だよ！、……ありがとう…」
ジェイコブは渡された薬を疑わし気に見るが、これ以上悪くなりようがないと覚悟を決めて、一度に全部飲む。
ニュートは緩んだ表情をなおすため、頬をバチンと叩き、ベストを脱ぎ、蝶ネクタイを外し、サスペンダーを下げた姿になった。
肉切り包丁を手に、大きな生肉の塊をぶつ切りにしてバケツに投げ入れる。
「これを持って」
ジェイコブは辟易した顔をするが、ニュートは気が付かない。
「ニュート、私は何をすれば？」
「あ、A、君は僕のそばにいて…」
「ふふっ！了解」
ニュートが繭をゆっくり絞ると、発光性の毒液が出てくる。ニュートはそれをガラス瓶に採集する。
「もっともっと……」
「そいつぁ何だ？」
「これ？地元の人は、スウーピング・イーヴルって呼んでる。「空飛ぶ悪魔」だよ。 物騒な名前だよね。動きが素速いんだ」
証明してみせるかのように、ニュートが繭をパシッとはじくと、繭がほどけて優雅に指にぶら下がる。
「研究の結果、こいつの毒は、適切に薄めれば薬になることが分かった。嫌な思い出を消してくれるんだ」
だしぬけに、ニュートがスウーピング・イーヴルをジェイコブに投げつける。繭がはじけて中から出てきた生き物──こうもりのようなとげとげしい色鮮やかな生き物──がジェイコブの顔に向かって吠える。
そしてAに飛びついた。
「わっ！ふふっ久しぶりね、……うん、私も会いたかった」
ジェイコブが大仰に身を縮めた。一方Aは、まるでスウーピング・イーヴルと話しているかのようにいう。
ニュートが少しムスッとして生き物を呼び戻す。
まちがいなく、ニュートのちょっとしたいたずらだ……
そしてまちがえなく、スウーピング・イーヴルに嫉妬していた……
「僕には会いたかったなんて言われなかったのに……はあ、だけど、ここで放し飼いはまずいよね」
ニュートが小屋の戸を開けて出ていく。Aに手を差し出す。
「来て」
いまや驚きっぱなしのジェイコブは、ニュートとAについて小屋の外に出る。
×
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 670人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「愛され」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
杏(プロフ) - つみきさん» 了解致しました☺️承認致しましたのでよろしくお願いします🙌 (2022年5月28日 16時) (
レス) id: 6f386ee796 (このIDを非表示/違反報告)
つみき - 杏さん» ありがとうございます、、、今Twitterにフォロー申請お送りしました！IDは「@cute_Flower___」です！よろしくお願いします☆*:.｡. o(≧▽≦)o .｡.:*☆ (2022年5月28日 15時) (レス) id: c3f3b23f10 (このIDを非表示/違反報告)
杏(プロフ) - つみきさん» はじめまして！えぇえ！！良いんですか？！😭全然迷惑じゃないです！！むしろ大歓迎です！🙌Twitterのアカウント名を教えて頂けますと幸いです☺️ (2022年5月28日 12時) (レス) id: 6f386ee796 (このIDを非表示/違反報告)
つみき - はじめまして！夢主様のイラストを描かせていただきたいんですかもしご迷惑でなかったらお送りしても良いでしょうか…？(問題なさそうでしたらTwitterの方もフォローさせていただきます) (2022年5月27日 23時) (レス) id: c3f3b23f10 (このIDを非表示/違反報告)
ごっくん2(プロフ) - リンさん» コメントありがとうございます！！！確かに…！他作品と比べると少し少ないですよね…！！これからも頑張ります！！ご拝読いただきありがとうございます！！！ (2022年4月17日 22時) (レス) id: f83802f70f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：杏 | 作成日時：2022年4月7日 16時
