ニュートのカバンの中 ページ32
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ニュートの告白は本日何度目かの失敗に終わった。
カバンからニュートの手が出てきて、ジェイコブとAに命令するように手招きする。
ジェイコブは目を見張る。状況を飲みこもうとして、ハアハアと呼吸が荒くなった。
ニュートの手が、急かすように再び現れる。
「二人とも、来て!」
「ニュート!今行く!ジェイコブさんも早めにね」
Aがニュートに聞こえるよう大きい声でいい、ニュートと同じようにカバンの中へと入っていく。
ジェイコブは気をとりなおしてベッドを抜け出し、ニュートのカバンに足を入れる。
しかし、腹のところでつっかえてしまい、必死でカバンに体を押しこもうとする。
その勢いでカバンがぴょんぴょん跳ねる。
「はー、まったく……」
いらいらしながら最後にもう一度跳ねると、ジェイコブの体がカバンに入りこんで突然見えなくなり、カバンがパチンと閉じた。
***
ジェイコブはカバンの中の階段を転げ落ちる。落ちながら、道具、ボトルなどいろいろなものにぶつかった。
「わ!大丈夫?ジェイコブさん」
「あ、ああ……」
Aが心配そうに言う。ジェイコブは目を張った。
そこは小さな木の小屋で、簡易ベッドが置いてあり、壁には熱帯用の装具や道具が掛けてある。
木の戸棚にはロープや網、採集用広口びんなど、机には旧式のタイプライター、原稿の山、中世の動物寓話集が一冊おいてある。
棚には鉢植えの植物がずらりと並ぶ。薬箱には錠剤や注射器、小型のびんが並び、壁にはメモ、地図、スケッチ、驚異的な生き物の動く写真が何枚かピンでとめてある。
かぎフックに干し肉が一塊引っかけられ、壁には餌の袋がいくつか立てかけられていた。
「はあ、懐かしいな…また来られるなんて、夢見たい」
「僕も、君がここにいるのが夢みたいだよ……あ、座って」
ジェイコブは「ムーンカーフの餌」と手書きラベルのある木箱の上に腰を下ろす。Aはニュートの近くに行く。
「それがいいな」
ニュートがジェイコブの首の噛み傷を調べる──一目見るだけ。
「ああ、やっぱりAの言った通り、マートラップだ。 君は毒に弱いらしい。君はマグルだから、僕らとは微妙に体質が違うんだ」
ニュートは作業台で、植物や様々なボトルの薬を使い、湿布剤を作るのに忙しい。Aも手伝っている。
そうしてできた湿布を手早くジェイコブの首に塗った。
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杏(プロフ) - つみきさん» 了解致しました☺️承認致しましたのでよろしくお願いします🙌 (2022年5月28日 16時) (レス) id: 6f386ee796 (このIDを非表示/違反報告)
つみき - 杏さん» ありがとうございます、、、今Twitterにフォロー申請お送りしました!IDは「@cute_Flower___」です!よろしくお願いします☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆ (2022年5月28日 15時) (レス) id: c3f3b23f10 (このIDを非表示/違反報告)
杏(プロフ) - つみきさん» はじめまして!えぇえ!!良いんですか?!😭全然迷惑じゃないです!!むしろ大歓迎です!🙌Twitterのアカウント名を教えて頂けますと幸いです☺️ (2022年5月28日 12時) (レス) id: 6f386ee796 (このIDを非表示/違反報告)
つみき - はじめまして!夢主様のイラストを描かせていただきたいんですかもしご迷惑でなかったらお送りしても良いでしょうか…?(問題なさそうでしたらTwitterの方もフォローさせていただきます) (2022年5月27日 23時) (レス) id: c3f3b23f10 (このIDを非表示/違反報告)
ごっくん2(プロフ) - リンさん» コメントありがとうございます!!!確かに…!他作品と比べると少し少ないですよね…!!これからも頑張ります!!ご拝読いただきありがとうございます!!! (2022年4月17日 22時) (レス) id: f83802f70f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杏 | 作成日時:2022年4月7日 16時