恋に焦がれて愛にゆく【ファンタスティックビースト】

税関 ページ4

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混み合う船客の中に、船を下りていくニュートの姿があった。彼女に会えると思うと胸がバクバクなって止まらなかったが、何とか抑えた。


そして大きなカバンを持って、税関に並んだ。



「次の人」



ニュートが税関役人の前に立つ──船側にずらりと机だけが並び、米国税関の役人がいかめしい顔で検査している。


役人の一人が、ニュートのかなり擦り切れた英国のパスポートを調べた。




「イギリス人だな？」


「はい」


「ニューヨークは初めてか？」


「はい」


「食べ物は入ってないか？」



税関役人が、ニュートのカバンを指して問いかけた。ニュートは何故か胸のポケットを片手で抑えながら、


「いいえ」


と答えた。


「生き物は？」


カバンの留め金がまた開く。ニュートは下を向いて急いで閉めた。



「Aに会う前に修理しなくては──あ、いいえ。」



「…中身を見せてもらおうか」



余りの不審さに、税関役人が疑わしげにそういった。


ニュートはカバンを机の上に置き、気づかれないように留め金のダイヤルを「マグル用」に切り替えた。



税関役人がカバンをくるりと回して自分のほうに向け、留め金を外して開けた。


中身はパジャマや地図類、日誌、目覚まし時計、拡大鏡、ハッフルパフのスカーフなどだった。役人はやっと納得してカバンを閉めた。



「ニューヨークへようこそ」



「ありがとう」



ニュートはパスポートを受け取ってカバンを手に持った。



「はい、次！」




(心臓がバクバクいって止まらなかった…彼に聞こえてないといいんだけど…)





ニュートはそんな事を考えながら、税関を通って出ていった。








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