魔法省の地下 ページ19
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エレベーターは長い昇降路を急降下する。ニュートがずっとソワソワしている。
ドアが開くと、狭くて窓もない、息苦しい地下の部屋に続いていた。上階とは痛々しいまでに対照的だ。
ここは明らかに、全く将来性のない者が働く場所だ。誰もいないのに仕事をしている百台ものタイプライターの中を、ティナがニュートを連れて通り過ぎた。
絡み合ったガラスのパイプが天井から垂れ下がっている。タイプライターから打ち出されるメモや書式は、勝手に折り紙でネズミの形になり、ちょろちょろと上階につながるパイプに走りこんで、宛先のオフィスに移動する。
二匹の紙ネズミが衝突して争いになり、両方ともビリビリに破ける。
ティナは部屋の薄暗い隅に向かった。
「魔法の杖 許可局」の看板がある。ニュートはまだソワソワしながら看板の下をくぐった。
「魔法の杖 許可局」は戸棚よりわずかに大きいくらいの広さだ。開封されていない申請書が山積みになっている。
ティナは机の向こう側で立ち止まり、コートと帽子を脱ぐ。ニュートの前で、失った威厳を取り戻そうとして事務的にふるまい、忙しそうに書類を調べた。
「あなた、Aの知り合いだったのね。それで、杖の許可証は持ってるの?外国から来たなら、ニューヨークでは必要よ」
「…そう、Aとは学校が一緒で…さっき言った女性っていうのは……彼女のこと。あ……杖の許可証は何週間か前に郵便で申請しました」
ニュートは嘘をついた。ティナは机に腰掛けて、クリップボードに走り書きする。
「なるほどね……スキャマンダーっと」
ティナはこの人はかなり怪しいと思いながら
「それで、あなた、赤道ギニアに行ってたの?」
「一年の現地調査を終えたばかりで、魔法動物の本を書いてるところです…」
「駆除の仕方の本──とか?」
「いや、殺すんじゃなく、保護する必要があることを分かってもらうための本です」
突然、アバナシーの声がする。
「ゴールドスタイン? どこだ? どこ行った? ゴールドスタイン!」
ティナは、パッと机の下に潜りこむ。それをニュートがおもしろがった。
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杏(プロフ) - つみきさん» 了解致しました☺️承認致しましたのでよろしくお願いします🙌 (2022年5月28日 16時) (レス) id: 6f386ee796 (このIDを非表示/違反報告)
つみき - 杏さん» ありがとうございます、、、今Twitterにフォロー申請お送りしました!IDは「@cute_Flower___」です!よろしくお願いします☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆ (2022年5月28日 15時) (レス) id: c3f3b23f10 (このIDを非表示/違反報告)
杏(プロフ) - つみきさん» はじめまして!えぇえ!!良いんですか?!😭全然迷惑じゃないです!!むしろ大歓迎です!🙌Twitterのアカウント名を教えて頂けますと幸いです☺️ (2022年5月28日 12時) (レス) id: 6f386ee796 (このIDを非表示/違反報告)
つみき - はじめまして!夢主様のイラストを描かせていただきたいんですかもしご迷惑でなかったらお送りしても良いでしょうか…?(問題なさそうでしたらTwitterの方もフォローさせていただきます) (2022年5月27日 23時) (レス) id: c3f3b23f10 (このIDを非表示/違反報告)
ごっくん2(プロフ) - リンさん» コメントありがとうございます!!!確かに…!他作品と比べると少し少ないですよね…!!これからも頑張ります!!ご拝読いただきありがとうございます!!! (2022年4月17日 22時) (レス) id: f83802f70f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杏 | 作成日時:2022年4月7日 16時