出演承諾 ページ9
翔平は「まったく、Aは銭ゲバだよな」と笑った。
「"銭のためならなんでもするズラ"」と主人公の決め台詞で答えたAに翔平と倉本は爆笑した。
「ま、でもマジメな話、目標達成までまだまだ必要だから稼げるうちに稼ぎたいかなー」
「堅実よね、megamiも。ギャラはほぼ貯金。ブランドに興味なし、服も持ち物もプチプラだし、ここまで業界に染まらない子は初めてよ」
倉本は感心した。
「そう言うところがいいんですよ」と翔平は言った。
「確かに・・・大谷君もそんなとこあるから気が合うのね」
「それじゃ、出演する?」と翔平がAに聞く。
「うん。翔平君が一緒なら^^」
ニッコリと顔を見合わせる二人を見て倉本は「じゃ、そう返事しておくわね」と微笑んだ。
『えー?紅白に出るの?白組だよね?』
紗結が翔平からの知らせを受けて驚いていた。
翔平は家族のグループLINEにそのメッセージを送ったら、紗結が「その話kwsk」と電話して来たのだ。
「歌手として出るんじゃなくて”審査員”」
『あんたがねぇ。他には誰が出るの?』
「それはまだ発表前だから知らないけど、megamiさんと一緒に出るよ」
『え? また?』
紗結がイヤなリアクションをした。
『同じ事務所だからって、そこまで一緒に共演させることないじゃん?』
「NHKがどうしても二人セットで出て欲しいって言って来たから仕方ないよ」
『じゃあ、正月はいつ帰ってくるの? どうせ寮は閉まってるんでしょ?』
「元旦の夜には帰るよ。NHKがホテルとトレーニングジムを予約してくれたから大晦日から元旦はホテル宿泊で、トレーニングしてから帰ることにした」
『Aちゃんとは別々に帰ってくるの?』
「Aも一緒に帰るよ」
『ああ、なるほど。あんたの勇姿を観客席で観てくってことね』
「はは」
いまだに気づかない姉。
いつになったら気づくんだろう、と思いながら翔平は電話を切った。
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作者名:琥珀 | 作成日時:2023年7月15日 15時