鋭い一平 ページ48
そしてAの方に視線が移る。
いつもならシレっと「姉ポジ」を主張するが、今日は紗結がいる。
翔平は(姉ちゃんの友達ってことに)とテレパシーをAに送る。
もちろんそんな能力はないが、頷くA。
すると一平が「megamiちゃんですよね?」と言った。
いきなり当てられて固まる翔平達。
「え・・・水原さん・・・なぜ・・・?」
翔平が聞くと「え・・・なんとなく・・」と一平は返した。
店員が注文を取りに来たので一旦話はストップ。
そして店員が再び去るとみんな一平に注目した。
「だからなんとなくだって。もしかすると始球式に来たときに間近で会ってるからわかったのかも」と苦笑する一平。
「ええ?始球式って何年前の話だよ」
翔平は笑った。
「今までバレたことないんですけどね」とAが言うと一平はあることを思い出した。
「あれ?今日試合前に騒ぎがあったのは?」
「あれは人違いです」
「そうなんだ」
ドリンクが先に来たのでメンドーサと乾杯し、お通しを味わった。
「あ、焼けたよ」
Aの皿に肉を乗せる翔平。
「あれ?私は?さっきもAちゃんだったよ?」と紗結はクレームをつけた。
「姉ちゃんは自分の好きなもん適当に焼けばいいだろ?」
「うわ、冷た・・」
翔平は新しい肉や野菜を置きながら言った。
それを見ながら笑う一平達。
「でもやっぱりボックス席じゃなくて良かったよね。Aの言うとおり目立つわ、あの席は」
「でしょ?ま、でも今日の席でもかなりいい席だったけど、前の方だったじゃん?後ろ姿しか見られないから気づかれるとかそういう心配がほぼ無いのよ。だから最初ちょっとビックリしちゃった。バレる要素ないんだけどなーと思って」
「私はテンパっちゃった。どうしたらいいんだろうって。でも振り返ったらみんな全然別の方向を見てたから・・・」
「あれ?って思いましたよねー」
Aは苦笑した。
「なのに水原さんは見抜いてたと」
「安心して。どうやら秘密の交際ってヤツみたいだから誰にも言わないよ」
一平は余裕の笑みを浮かべながらドリンクを飲んだ。
その後はそれぞれの会話に移り、翔平たちは一平たちより先に帰った。
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作者名:琥珀 | 作成日時:2023年7月15日 15時