ざわめき ページ46
すると「あ、やっぱりmegamiだよ〜」という声し、それはAの耳にも入った。
「一緒にいるのは女性だけどマネージャーさんかな?」
「いや、もう引退してるから友達じゃない?」
ざわめきが広がる観客席。
「Aちゃん!ここは一旦引きましょう」
紗結がAの手を掴んだ。
一方、フィールドに出ようとしていた翔平にチームメイトが「megami来てるんだって?」と聞いて来た。
「え?」
「ウォームアップに出てた有原たちが観客席がすごいことになってるってLINEしてきた。ほれ」
写メまで添付されていてそれを見た翔平は驚いた。
え・・・。
今まで気づかれたことなかったのに。
しかし、野次馬の背中ばかりで肝心のAだとは断定できない画像だった。
翔平は「へぇ、来てるんだ?」と平静を装ってフィールドに出る。
観客席を振り返ると本当にざわついていて警備員が出動していた。
わーやばいな〜・・・。
・・・あれ?でもあの席って、ボックス席じゃね?
そう思っていると「翔平!」と紗結の声がして振り返ると紗結とAがポツンと二人だけ席にいて手を振っていた。
周囲はほとんどmegami見たさに大移動しているらしい。
「あれ?」
A無事じゃん・・・。
何?
どうした?
翔平は両肘を曲げて首を傾げた。
Aも両肘を曲げて首を横に振る。
そうこうするうちに騒ぎはおさまった。
スタッフが出て来て別の席へと案内したからだ。
「megamiちゃん、行っちゃった〜」
「サインもらおうと思ったのに」
「でも、見にくるんだね?やっぱり大谷さんを応援に来てたんだよね?」
「留学とか聞いたけどまだ日本にいるんだ?」
「やっぱ付き合ってるのかな?」
などと雑談が始まり、紗結は笑ってしまった。
megamiは確かに来ているけど、人違いだ。
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作者名:琥珀 | 作成日時:2023年7月15日 15時