烙印 ページ38
すでに観客は会場を出たあとなので、祝花付近は静かで、周囲は片付けが始まっていた。
『ここからここまでmegamiさんの祝花なんですけど、特にこれが話題になってたんです』
megamiへの祝花はこのイベントではダントツに多かった。
後ろの方で倉本が事務所へ運んでもらうために作業員と打ち合わせをしていた。
レポーターが示したのは『紫のバラ』だった。
『・・・あなたのファンより・・?』
カードを読んだmegamiが絶句し、そのあと笑った。
『紫のバラの人ですかね?』
『そうなんです。これが大谷選手からってご存知でした?』
『・・・え?』
素で驚くA。
『ご存知なかったんですか?』
『え・・いや・・だって大谷なんてどこにも・・・』
『じゃあ、誰からのお花と思われて笑ったんですか?』
『・・・速水・・真澄?』
それを見たスタジオは爆笑した。
「megamiさん、天然でかわいいですね〜^^」
この放送を見た視聴者によりSNSで話題となった。
「翔平君、ちゃんと名前書いといてよ」
千葉の鎌ヶ谷寮にいる翔平に電話したAは、花のお礼のあとにクレームを言った。
「いや、マジでボケるとは思わず、テレビ見て吹いた」
翔平は思い出したのか笑った。
「全国ネットで天然の烙印を押されたわ」
「もともとそうじゃんw」
「ひどい」
「でも、カッコ良かったよ〜。コケないかハラハラして見てたけど」
「それはもう練習したからね。なんたって厚底とはいえヒール15cmだよ?花魁道中かと。コケたら絶対に捻挫する!と思って必死だったし」
「おつかれ!これで2015年も終わるね〜」
「今年は紅白断ったから早めに帰省できるね」
「そだね」
二人は帰る日を相談した。
そして2015年が更けて行った。
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作者名:琥珀 | 作成日時:2023年7月15日 15時