取り決め ページ32
「お前のスキャンダルがないか探してるんだよ」
「中学ん時の話がスキャンダルになるんですか？」
「いや、おまえ、好きな女性のタイプも秘密にしてるからなんかこうネタになることないかなーってな」
「そんなの探してもムダです」
すると同僚が「megamiは？」と言い出し、翔平はピラフを喉に詰まらせて胸をドンドンと叩いた。
「あ、動揺した？」
「偶然だわ！」
「まーmegamiは仕事関係だから悪くは言えないだろうな」
すると久我が言った。
「私、megamiちゃんと雑誌のお仕事させて頂いているから大谷君のことを聞いたことがあるんですけど、megamiちゃんは大谷君のこと興味ないって言ってましたよ」
マジかよ、と翔平は思った。
「本当にお仕事だけの関係なんだなーと思いました」
翔平は水を飲んで一息ついたあと、久我に言った。
「メガミさんは本当に『興味ない』って言ったの？」
「え・・・うーん・・・ハッキリとは・・・ニュアンス的な？」
久我は思い出すフリをするように答えた。
「だよね」
勝ち誇ったような顔をする翔平。
中田達は「なんだよ、そのドヤ顔」と苦笑する。
「一応、CM契約で取り決めがあるんですよ」
「取り決め？」
「『理想のタイプは？』とか聞かれたら、メガミさんは『大谷さん』、僕は『メガミさん』って答えるようにって」
それを聞いて「はぁああああ？」とみんな驚いた。
「そんな話聞いたことねぇよ！」
「だって聞かれたことないですから」
「え？でもさでもさ、以前出てたトーク番組で『付き合えば？』って言われて拒否してたじゃん」
「それは『理想のタイプは？』の質問と違いますもん。だから、メガミさんが僕に『興味ない』なんてことは言えないはずなんです」
「・・・」
「恐るべし、CMの設定」
昔から翔平の性格を知っている美山だけは何故かニヤニヤしている。
翔平は「ああ、食った食った」と満足すると「悪いけどオレ明日早いんで帰って寝ます！みなさんは引き続き楽しんで下さい」と言って席を立つと店を出て行った。
久我は仏頂面になって席に座った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1109人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：琥珀
| 作成日時：2023年7月15日 15時
