品定め ページ28
時は少し遡る。
翔平は成人式が終わった翌日にAと帰京し、鎌ヶ谷寮へ戻ってすぐに春季キャンプの準備をした。
2月1日から約1ヶ月沖縄の名護市営球場で行われるが、先乗りと行って、1月20日過ぎにはキャンプインするからだ。
もっと早い人だと1月10日頃から行って、調整している選手もいる。
翔平を始めとする鎌ヶ谷寮の選手達は20日過ぎにインする計画を立てていた。
キャンプ中に滞在する部屋割りは一軍が一人部屋を利用でき、二軍は高卒選手だと2〜3人部屋の利用となるらしい。
翔平は一軍なので一人部屋が利用できる。
「翔平、準備どんな感じ?」
「うん、まぁこんなもんかな」
「え?そのボストンひとつ?・・・と野球道具?」
「だって、今年のユニフォームやトレーニングウェアって現地で用意されてるし、持っていくとすれば下着と私服1〜2着くらいじゃない?一番大事なのはバットとグローブかな」
「野球道具はともかく着替えだけって、休日は何すんだよ?」
「何って?」
「みんな釣りとかゴルフとかサーフィンとかやるからって大荷物持ってくじゃん?宅配してる先輩もいるからおまえもそっち系?」
「そっち系ってなにかわからんけど、宅配したのはアイシングマシーンくらいかな」
「いやいや」
「とにかくオレは休日は寝るからいい」
「沖縄でも寝るのかよw ブレないなぁw」
ちなみにお財布にも諭吉1枚しか入っていなかった。
おそらくこのまま残るだろうと例年のキャンプで学習したからだw
・
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「今日は⚪︎なし、全部×」
キャンプが始まり半月が経った頃、いつものように1日の練習が終わり、一緒に食事に行く選手同士でホテルのエレベーターホールで待ち合わせしていると先輩の数人がそう言いながらやって来た。
「でもたくさんいたから全員把握しきれてないですよね」
後輩選手が答える。
翔平は「何の話ですか?」と聞いた。
「今日来てたギャラリー。もち若い女子限定」
「?」
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作者名:琥珀 | 作成日時:2023年7月15日 15時