願わくば ページ25
そして翔平に「女子アナでも女優でもないけど、16日は一緒に帰ってね」と言うと「当日は迎えに来させていただきます。モデル様」と翔平は丁寧に返した。
Aは笑うと「じゃね〜!」と手を振って駅の構内へと入って行った。
「Aちゃんて明るくてハキハキしてて気持ちのいい子だね」と龍平が見送りながら微笑んだ。
「うん、さっぱりした性格でポジティブだしね」
「大事にしないとああ言う子滅多にいないと思うよ?」
「わかってる。だから細心の注意を払ってるんじゃん」
龍平は有名になりすぎた弟を見て少し不憫に思った。
願わくばこのカップルが永遠に続くことを祈るばかりだ。
「じゃ、帰るか」
龍平は静かに発進した。
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そして無事成人式を終えた翌日、翔平は千葉の鎌ヶ谷寮へ、Aは東京の自宅へと戻った。
翔平は2月からキャプインのため準備に追われ、Aもまた学業とバイトの日々に突入した。
それから1週間後、Aは夏服の撮影のためにスタジオに来ていた。
「まだ真冬真っ盛りなのに、もう夏の撮影か〜」と生地の薄い黄色のワンピースを着せられ、ツバの広い白い帽子をかぶりイスに座ってスタンバイしていた。
テーマはサマーリゾート。
スタッフが準備中なので待っている。
「あ、megamiちゃん、おはよ」
久我もmegamiと色とデザイン違いのワンピースの衣装を着てやって来た。
久我は帽子ではなくパラソルを手にしていた。
この日のテーマは某ブランドの夏の新作シリーズを二人ペアになって撮影する。
「おはよ、久我ちゃん。今年初めてじゃない?ことよろ〜^^」とAが挨拶をした。
「そうだね。ことよろ〜^^」
久我はmegamiの隣のイスに座った。
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作者名:琥珀 | 作成日時:2023年7月15日 15時