彼氏 ページ22
紗結はそう言いながら、改めてAに「良かった〜。megamiがAちゃんだったなんて」と言った。
「確かに思い返せば、お父さんの言うとおり翔平があんなにmegamiにデレデレだった理由が頷けるわ」
「デレデレなんてしてないわ」
否定する翔平。
「いやあ、してたよ。だから私が怒ってたんだからね」
そんな二人の口論を止めるように「はいはい。もうそのくらいにして、料理ができてるからいただきましょう!」と美代子がみんなに席につくように言った。
涼子と美代子で雑煮をあたためテーブルへと配膳する。
Aはお茶を入れるなどして手伝った。
「紗結も手伝いなさいよ。実の娘が何もしないなんて」
美代子に叱られるも「だって、そんな狭い台所、4人もいたら動けなくなるじゃん。その代わり後片付けは私がやるから」と言う。
「まったく。そんなんだから貰い手がいないのよ」
「彼氏はいるもーん」
その答えに「えー!紗結さん、彼氏いらっしゃるんですか?」とAは驚いてしまった。
「何、その驚き方。ヘン?」と苦笑する紗結。
「いえ全然ヘンではないですけど・・・今までそういう系の話を聞いたことがなかったから」
すると翔平が「もしかして、まだ三澤先生と付き合ってんの?」と聞いた。
「そうだけど?」
「え?三澤先生って、花巻東野球部の顧問の?」
Aも高1のときに一度面識があるので知っている。
翔平の打球を頭に受けた事件のときに会っているのだ。
それからもちょくちょく練習試合や公式試合で遠くから見かけたことがある。
結構イケメンな印象があった。
「オレが高2くらいのときだったから割と長く続いてるよね」
「へぇ、そうなんですねー」
Aがニコニコとすると、翔平が「三澤先生も忍耐力あるなぁ」と感心した。
「あのね、どういう意味さ」
紗結がにらむ。
ちなみに紗結が三澤紗結になるのは5年後の2020年である。
1109人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:琥珀 | 作成日時:2023年7月15日 15時