レッドカーペット ページ12
「サイナスさん、特別なジャージを送ってくるかと思ってたのに、ここまで用意してくださったんですね」とAが言った。
「さすがに紅白にジャージは無いわよ」と笑う神野。
「でもこの振袖すごいなー。帯も素敵」
キラキラした瞳で見つめるAに翔平が「振袖着てるとこみてみたいから着たら?」と言った。
「じゃあ、翔平君は紋付袴?」
「うん、そうだね^^」
翔平にあまりこだわりはない。
すると神野が「せっかくだから両方着ちゃえば? 視聴者も両方観たいと思うよ」と言った。
・
・
二人はホテルで着付けをしてもらい会場へと向かう。
美しく着付けられたAを見て翔平は数秒フリーズした。
「わ、なんか翔平君新鮮!」
紋付袴の翔平を見てAは見惚れた。
「それはこっちのセリフだよ・・・」
めっちゃキレイ・・・まさに女神やん、と翔平は久しぶりに大きなときめきを感じた。
こちらもスポンサーの計らいで二人ともリムジンに乗車した。
その年の紅白の演出として、映画祭アカデミー賞を意識したレッドカーペットから出演者の入りを中継するからだ。
人気の出演者ほど順番があととなる。
翔平とmegamiは一部の出演者よりも注目の的となっていたため、後半あたりに設定された。
30分ほどの待機時間を経て、係の誘導で動き出すリムジン。
待っている間に中継を備え付けのテレビで見ながら、倉本は導線を確認していた。
「先に大谷君が降りて、後から降りるmegamiの手を取ってエスコートしてね。一度車の前で立ち止まって撮影に応じてください。そして、手を振りながら歩いて、ここで数人にファンサ(サイン)をしてください」
「どのくらいの人にすればいいですか?」
「一人、5〜6人ってとこかな? 後続に大御所がお待ちだからそんなに時間取れないし」
「わかりました。じゃあ、私が左側の方々を担当して、翔平君が右側の方々を担当ね」
1109人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:琥珀 | 作成日時:2023年7月15日 15時