僕のMEGAMI

身辺調査 ページ4

「こう言う時に私たちが一番懸念してるのが『彼氏』の存在なんだけど、今いるの？」

「いませんよ」

翔平のことを話すわけにはいかない。

「男友達などは？」

「岩手に帰れば元高校の野球部の仲間がいますんで友達といえば友達ですね。でも東京ではいません。ちなみにこの仕事をするようになってからは地味に徹しているので合コンにも誘われませんし行ったこともありません」

すると倉本が「その元野球部の子達からあなたの情報が流れたりする可能性はないかしら」と心配した。

「無いと思います。megamiという時点で私のことを思い出すとは思いますけど、広告と普段の私はまったく違いますし、出身地をニューヨークにしていただけているので同一人物とは思わないはずです」

「誕生日が非公開なのも気づかれないようにとのことよね？」

「それもありますね」

すると神野が「誕生日っていつだっけ？」と聞いた。

「4月8日です、もうすぐ20歳です」

「確かヴィーナスの誕生って4月8日じゃなかった？」

「そうなんですか？社長よくご存知ですね？」

「この社名をミューズにするかヴィーナスにするかで迷ったときにいろいろ調べたものw 正確には、ミロのヴィーナスが発見された日と言われてるけどね」

「へぇ、そうなんですね。じゃあながち今回のお仕事は女神の導きだったんでしょうかね〜」

Aは笑った。

「概ね了解したわ。じゃ、あとはうまくやっておくわね」

「よろしくお願いします」

Aは立ち上がって会釈をした。

「あ、今からランチどお？ 近所に新しいフレンチの店ができたのよ」と神野が誘ったが「すみません。午後から弁護士事務所のバイトなんです」とAは言った。

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