第6.5話 主人公と冬夜の過去編4 ページ17
今はちょうど21時をまわったところ。あたりは暗く、先も見えない。
「……」
コツコツ、後ろから微かに足音がした。
僕は左に曲がるが、後ろの人物も同じ方向だった。
一旦足を止めた僕は制服の懐から銃を取り出し、いつでも銃弾を撃てるようトリガーにそっと指を置く。
足音はどんどんとこちらの方向へと向かってくる。
引き金を引くべきだろうか……だけど、たまたま同じ方向だということも十分に考えられるし、吸血鬼ではなくただの人間かもしれない。だとしたら、銃弾を撃つのは危険だ。
しかし、万が一、相手が吸血鬼だった場合、懐に入っている銃を取り出している間に血を吸われたら?そのことも考慮し、僕は銃をそのまま構えていた。
「こんばんは、君は吸血鬼対策組織の中でも最年少でハンターになったって有名な如月A君だよね?」
「……っ……」
足音の人物は一気に僕の目の前まで来ていた。
「どうして返事をしてくれないんだい?怖がる必要なんてないよ、俺は君を勧誘に来ただけだよ」
僕は何故か足の震えが止まらなかった。銃を持っている手さえも震えていた。
名前を知っていたから震えていたんじゃない。
その男の表情が人間とは思えないほど不気味な笑顔をしていたからだ。
僕の銃を手で振り払い、その後すぐに僕の両肩に両手を置いた。
僕は震えている両手で男を必死に引き剥がそうとする。
「何故僕を狙うんですか、貴方の目的は?」
男の両肩を押し、少しずつ距離をとっていく。
「目的?さっきも言っただろう?俺は勧誘に来ただけだって」
「じゃあ、どうしてこんなことをするんですか」
「その殺意に満ちた目、実にいい。是非、君を闇の殺し屋に勧誘したい。
これは君がどのくらいの実力か試しただけにすぎない。ごめんよ、怖がらせてしまって。
武器を失っても尚、戦う姿勢は関心するよ」
男はさきほどの表情とは一変し、にこやかな笑顔を僕に向け、肩から手を離した。
「闇の殺し屋の勧誘、ですか……」
闇の殺し屋とは、吸血鬼対策組織から独立して出来た団体で、吸血鬼対策組織の中でも特に優れた者だけが親の合意の上で(本人が未成年の場合のみ)所属することができる。
たしかに男の胸元には闇の殺し屋の証拠であるエンブレムがあり、信用するには十分の判断材料だ。
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柊黒炎(プロフ) - ユーンさん» ユーンさん、返事が遅くなりましたが応援コメントありがとうございます。更新速度はかなり遅いですが、自分のペースで頑張っていこうと思っていますので最後まで応援よろしくお願いします。 (2017年11月20日 23時) (レス) id: efc399b360 (このIDを非表示/違反報告)
ユーン - 吸血鬼ハンター………かっこよすぎる〜〜〜〜〜!!\(=>д<=)/これからも頑張ってください!! (2017年10月23日 21時) (レス) id: f77b1d313c (このIDを非表示/違反報告)
柊黒炎(プロフ) - すずはver.アニヲタさん» 応援コメントありがとうございます。とても励みになります!更新は不定期にはなりますが、応援よろしくお願いいたします。 (2017年10月9日 17時) (レス) id: 0630f0c510 (このIDを非表示/違反報告)
すずはver.アニヲタ - かっこえぇぇぇ!! 続きがきになるぅぅぅ! (2017年10月9日 15時) (レス) id: 72db204b8d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊黒炎 | 作成日時:2017年9月17日 0時