オトコギライ《桃》

#キライ ページ32

神山side








"………それ、嘘やろ？"











俺と流星の笑い声が止まって、空気が凍りつく。








横を見たら今まで見たこともあらへんくらい真剣な目つきのしげ。










嘘？なにが？











神「…え、嘘ってなにが？笑」

















……どこかで焦っとる自分を見破られへんように笑顔を貼り付ける。


















重「…恋愛的な目で見たことない、って嘘やろ？言うとんねん。




"今は"見てへんのやろ？」





















疑問符は付いとるものの、ほぼ確信したように聞いてくるしげ。

















もう、誤魔化せへんか。




































神「……せやで。しげの言う通りや。






俺は昔……いうても2年前ぐらいまでか？









……Aのことが、1人の女の子として好きやった。」


















はは、流星は目見開いてもうてるわ。









でもほんまに、しげよう分かったなぁ……。



















藤「……え、前までは好きやったん？




なんで今は、好きやなくなってもうたん？」
















……ここまで来たら、正直に言うしかないか。


















神「……Aは別に、俺に恋しとるわけやないねん。





ただ周りの男とは違うって安心感から、俺にくっ付いとるし、懐いとる。









そりゃさ、あんなに可愛ええ子が智くん智くん、いうて一緒におったら好きになるよ。



ならへん奴は相当やろ笑





…せやけど……」















重「…自分だけ好きなんが、辛なったんか。」













神「…おん。



Aの"好き"と、俺の"好き"の意味が全然ちゃうって現実が、想像以上にしんどかってん。







結局、こんな感情抱く俺が間違ってたんよ。





自惚れてもうた、俺が間違ってた。」



























誰にも負けへんくらいのAへの恋心は、







中学卒業と同時に押し入れの奥の方にしまい込んだ。

















Aの隣におるには、友達でいるしか方法はなかった。







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