オトコギライ《桃》

#キライ ページ12

あなたside






ありえへんありえへんありえへん！！！！！






なんなんあいつ！？









速攻でトイレに駆け込んで唇を洗ったけど、まだ気持ち悪い。











『…最っ悪や……！！』







ウエットティッシュで入念に拭いてから、上からリップクリームを塗る。







初めて自分の唇見てこんなに気分悪なった……！！

























やっと冷静になって、あることに気がつく。













……智くん、置いてきてもうた……！！








もう5限始まる頃やし、教室戻って来とるかな……？



















あいつへの嫌悪感は無くならんまま、教室に戻ろうとすると廊下でキョロキョロする智くんの姿が目に入る。















智くんの片手にはスマホ。







慌てて自分のも確認してみてんけど、メッセージは勿論、着信もたくさんの来とった。











……こんな時に心配されて嬉しい、なんて思ってまうのはあかんのかな？


















神「…！A！！どこおったん！ 離れるなら声かけてや？」



















目線を合わせるのに屈んでくれとる智くんの顔が思ったより近くて。











……嬉しいはずやのに、さっきのことがフラッシュバックしてもうて、複雑な気分になる。











『智く〜〜ん！！！！』






神「え！？ちょ、急にどないしたん！？」





『もうだめやぁ……キモくてキモくて死んでまう！！』







神「はっ？体調悪いん？」







『やっぱアイツらなんかと絡まん方がええって！』







神「なーんでそんなこと言うん？…のんちゃんに何かされたんか？」









…のんちゃんってなんやねんのんちゃんって。









『……智くんはアイツらんこと好き？』





神「えぇ？そりゃまぁ好きやけど……」









やっぱ聞かんかったら良かった……。









神「…でもAのこともちゃんと好きやで？」









『！！私もやで！！』

























せやけど、その好きは私の好きとちゃうんやろ？





























こんなにも互いの想いを比べたい、思ったんは初めてやわ。






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