マネージャー 無表情 なぜ。[WEST]

38 ページ38

重岡side



俺の涙も止まった頃。







『そろそろ行きましょうか。お母様も待ってると思います。』



せやった。あれから30分以上は経っとる。

すっかり忘れとったわ。こっから駐車場までも10分ぐらいあるしなぁ。









重「なぁなぁ。平ちゃんってさ、どこ出身なん？」



平ちゃんいつも標準語やねん。

やっぱなんか違和感というか新鮮というか？








『どこって……重岡さんと同じ兵庫ですけど。』











ほーん。兵庫ねぇ…兵庫……兵庫！？！？






重「え、え、平ちゃん、関西出身なん！？」


『だってあの時同じ場所にいたんですよ？流石に川遊びの為に他の地域から来ませんって。』


重「やって、関西弁喋らんやん！！」



『まあ、仕事上失礼に当たらないように死ぬほど標準語叩き込みましたから。』







初耳や……
関西出身やってもここまで綺麗に話せるもんなんや………





重「！！やったら一応関西弁も話せるってことやんな！？」


『…そりゃあ、話せますけど。』





重「話してみてや！平ちゃんの関西弁聞いてみたい！！」




『嫌ですね。』





めっちゃ即答やん……

でも俺は諦めへんで…！！





重「1回！！1回だけでええから！！」

『嫌です。これ以上言ったら、明日どうなるか分かってますよね？』







…それ言われてもうたら何もできへんやん……

前いたずらした時エグかったで？

1人でずっっっっと踊らされんの！！

ほんまきつかった……





それからはまた無言で歩く。

改めて思ってんけど、平ちゃんって意外と筋肉ついとるよなぁ……
なんか、綺麗な筋肉。
ごつすぎず華奢すぎず？みたいな感じやな。



力仕事とか多いんやろうけど、スポーツでもやってたんかな？




背中なんてまじまじと見た事なんて少なかってんけど、後ろ姿ほんまに綺麗やわ。


それに、まだまだ知らんこと沢山あった。









そろそろや。
それでは、なんて言うて自分の車に向かう平ちゃんの背中に声をかけた。



重「なぁ！！平ちゃんのこと、Aって呼んでもええ！？」







平ちゃんは振り返って


『重岡さんが、恥ずかしい言うたんやないですか笑』


って、初めて笑った。

















青空に似合う、綺麗な笑顔やった。














重「平……Aが笑った…！！」








あの日と同じ晴天の空を見上げて、小さくガッツポーズをした。

39→←37

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す