お世話になります。��【文豪ストレイドッグス】

【L o s t C h i l d.】 ページ6

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「き 昨日の夜のアレはお前が無理矢理......!」


そう途中迄云い掛けると、谷崎はハッとして、じわじわと頰を赤く染めた。
完全に蚊帳の外状態の中島は、谷崎の様子を見て不思議そうに首を傾げる。ナオミは両腕を組み、ニィッと唇を横に引いた。顔にはこう書いてある。＿＿＿＿“ 勝った ” と。

小さな声で、「......何でもありません」自身が口論に負けた事を認め、項垂れた。
中島と同じく、蚊帳の外状態の桧室は谷崎の様子を見て思う。
昨日の夜に、一体何があったのだろう......。知りたいけれど、世の中には知らない方が善い事もある。気になるが、桧室は何も聞かなかった事にした。


「と......兎に角! 事務員は社に戻るンだ!」


谷崎はナオミと桧室に向かって再度探偵社に戻るように注意をした。丁度その時、信号が赤から青に変わり、谷崎は慌てて足早に歩き出す。


「あらあら 何なら昨日の懇願を思い出させてあ＿＿＿＿」


薄笑みを浮かべ、悠然とした足取りで谷崎達の方に向かって来るナオミ＿＿＿＿だが、そこで突然彼女の台詞が途切れた。

数歩先を歩いていた谷崎と中島、ナオミの隣に居た桧室は目を見張る。周りの人達が横断歩道を渡る中、三人は思わぬ出来事により、茫然とその場に立ち尽くした。


「......ナオミ?」


今しがた谷崎達の傍に居た筈のナオミが、まるで最初から居なかったかのように、跡形もなく姿を消してしまったのだ(・・・・・・・・・・・・・・・・)。


「......真逆」

「ナオミッ!?」


嫌な予感が三人を襲う。
宮沢が行方不明、そして今朝の建物消滅事件＿＿＿＿妹の名を叫ぶ谷崎の表情は、一気に焦りと動揺に変わる。

桧室は深紅の瞳を細め、警戒した。
間違いなく、これは組合による襲撃だ。怪しい人物がいないかと、キョロキョロと周囲を見回すが気配が全く無い。


「敵が直ぐ近くに居るんだ......! 谷崎さん 危険です!」

「何処だ! 糞ッ ナオミを返せ!」


姿の見えない刺客＿＿＿＿妹の事となると周りが見えなくなりがちな谷崎は、中島の制止も聞かずに走り出す。挙句の果てに、「退けッ!」前に居た見知らぬ人の背を容赦なく突き飛ばしてしまった。
この行動には、谷崎を追いかける中島と桧室も驚愕する。


「中島さんは谷崎さんを追ってッ この人は私が!」

「わ、判った!」


桧室は突き飛ばされた人の元に駆け寄ると、「大丈夫ですか? 怪我は有りませんか」そう訊ねる。


「見付けたッ!」


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