RAIN(2)/FB777 ページ21
「嫌いなのー…」
俺の発言によって少ししょんぼりした様子。
「ま、まぁ嫌いってか面倒ってか…」
「あのね！雨は私たちなんだよ！」
いきなりこっちに顔を向けて目を輝かせて。
と思ったらなんだ、雨は私たちって。
「全然分かんない」
「えー」
さて、一体どういうことだろう？
「だって、雨がなきゃ私たち、生きてけないよ」
「そりゃあまぁ」
「飲水だって、お米だって、野菜だって。
全部雨のお陰で成り立ってるの。
全部雨のお陰で私たちは生きてるの」
「雨は私たちの身体となってるの！」
してやった、とでも言うようなドヤ顔。
けれど彼女の言うことはもっともで、
なんかそれがまた腹が立ったので
「うりうり」
「きゃあ」
乗っているハンカチごと頭をわしゃわしゃしてやる。
そしてボサボサになった頭を抑えながら、
彼女は前を見て言った。
「私たちだけじゃないのかもね」
水を吸収する草木が不思議と、
喉が乾いている人間のように
とても生き生きとしたものに見えた。
「それに、雨が止んだらきっと
虹がかかってるよ」
その笑顔は
進む秒針と比例するように枯れた
太陽のように眩しく、美しかった。
その心地良さに浸っていると、
雨雲が薄くなって、暖かい光がふたりに差した。
あんなに鬱陶しかった空の雫も、
今ではきらきらと輝く宝石の様に見える。
「…あ、虹だ」
誰もが目を奪われる虹も、
誰も見向きもしない雨のお陰で生きられるんだ。
「ねぇ、名前を聞いても…」
そう隣を向こうとした刹那、
肩を叩かれる感覚がして目を開けた。
「FB！」
「えっ、きっくん？！」
どうしてここに
と口にするよりも早く、彼が頭を下げた。
「すまん！…俺が、悪かった」
「…！」
意地を捨て自分を折ってまで謝るのは、
何ともないことのように見えて
実は本当に凄いことだ。
「俺こそ、ごめん」
ふたりして頭をさげあってると、
なんだかおかしくって。
「ははっ、」
「なーに笑ってんだよ。
てかなんであんな所でぼっち寝してたのえふびぃちゃぁん」
「うわきっくんキモっ」
虹が掛かる空には、
さっきまで雨が降ってたんだ。
雨も、必要なものなんだ。
「次の雨の日のために、
傘を探しにいこうかな」
「ん？何か言ったか？」
「きっくんには教えましぇーん！」
「うぜぇぇぇ！！」
(忘れない。
こんな雨の日に、君と空を見上げたことを)
終わり
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透夏(プロフ) - きのこの子さん» 返信遅くなってすみませんっ。始まりましたねツアー！私も参加予定です！これからもっと面白い話を更新していくのでよろしくお願いします！ (2016年11月13日 22時) (
レス) id: bc92396a77 (このIDを非表示/違反報告)
きのこの子 - 更新待ってます！！ (2016年11月8日 12時) (レス) id: 5f6b825457 (このIDを非表示/違反報告)
きのこの子 - あと少しでＭＳＳＰの全国ツアーですね！！ (2016年11月3日 8時) (レス) id: 5f6b825457 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：透夏 x他1人 | 作成日時：2016年9月11日 15時
