RAIN/FB777 ページ20
雨。
どんよりとした鉛色の雲から
バケツをひっくり返したかのような程の水が落ちる。
それが、ポッキリ折れたネイビーの傘に弾かれるたび
天気と気分が相まって、更に憂鬱になる。
「…なんだってんだよ」
きっくんと喧嘩した。
もう十数年の付き合いだ。
俺も悪いしアイツも悪いのは重々承知しているが
それでも喧嘩というものは胸糞が悪い。
「…なんで雨が存在するのかねぇ」
足元に出来た水溜まりに映る自分の顔。
実際は泣いてもいないのに、
頬に雫が伝っているように見えた。
「……はぁ、」
ぱしゃり。
わざと水飛沫をつくりながら
それを踏んで足を進め、
丁度小さな公園の前を通りかかったとき。
目を疑った。
「ふーんふーんふふふーんふふーんふーHey！」
こんな土砂降りの中、
傘も差さずに、スキップをする女の子が。
「ふふふふふふふーんふふーんｻﾊﾞｹﾞ！」
それはそれは、笑顔で楽しそうに。
「……え、あ、あの？！」
思わず二度見ならぬ三度見をした。
「へ？」
「なにしてんですか？！」
「おさんぽ」
「馬鹿なの？！」
いやもうツッコミどころあり過ぎて。
＿＿
「いやぁ、土砂降りだねぇ」
女の子は傘を持ってなさそうなので
俺の傘でも貸そうかと思ったが、
流石に折れているのではな…ということで、
ひとまず、公園内の屋根付きベンチで雨宿りしている。
「天気予報で降水確率100%だったよ。
なんで傘忘れるの…。」
そして驚く事が。
紛れもなく初対面なはずなのに
もう敬語を外すまでに打ち解けているのだ。
そう、あの俺が。
女性と。こんな短時間で。
…コミュ障が治ったかと思ったが、
まぁそんな訳がなく
彼女の不思議なオーラのお陰なのだろう。
「忘れたんじゃないよ。持ってこなかった」
「もっと馬鹿なの？！」
いやなんでこんな日に傘を持たないよ。
「私ねぇ、雨が好きなんだぁ」
少し下にある彼女の顔を覗き見ると
楽しそうに笑っていた。
そんな彼女の頭に、奇跡的に持っていた
洗ったばかりのハンカチをぺしっと置いてやると
嬉しそうに肩を揺らした。
「雨って素敵！空から水が落ちてくるって、
不思議で神秘的」
ぴったり服が肌に張り付いた彼女の肩が、
ぴったり俺の肩とつくっつく。
そんなことで少し、
ほんの少し意識してしまった思考を誤魔化す様に
「えぇ…俺は雨嫌いだなぁ」
未だ雨が振り続ける暗い空を見上げ、そう言った。
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透夏(プロフ) - きのこの子さん» 返信遅くなってすみませんっ。始まりましたねツアー！私も参加予定です！これからもっと面白い話を更新していくのでよろしくお願いします！ (2016年11月13日 22時) (
レス) id: bc92396a77 (このIDを非表示/違反報告)
きのこの子 - 更新待ってます！！ (2016年11月8日 12時) (レス) id: 5f6b825457 (このIDを非表示/違反報告)
きのこの子 - あと少しでＭＳＳＰの全国ツアーですね！！ (2016年11月3日 8時) (レス) id: 5f6b825457 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：透夏 x他1人 | 作成日時：2016年9月11日 15時
