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24話 ページ25

丑三つ時になったので、我は冨岡の屋敷へ向かった。



中庭への侵入は容易だった。


それから、襖を粉々にしようとしたが、


どうにも冨岡の気配が感じられなく、一応やめといた。





引き戸に手を掛け、襖を開けると

そこには家具もなにもなかった。


ただ空っぽの部屋だった。







なんだか少し気味が悪くなってきたため、帰ることにした。


冨岡はどうせ任務にでも行ってるのだろう。



















「________A。」
















北西。


北西の方向から、冨岡が我の名を呼んだ。

今にも泣きそうで、小さく、優しい声で。








急がねば。


その一心で、我は走った。












何故、今更我の名を呼んだのだろう。


だが、忘れていなかったという事実は、少しばかり嬉しい。










しかし、名を呼んだということは、何か危ない状況なのだろうか。











いや、考えても仕方ない。早くしなければ。

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作者名:kogyu788 | 作成日時:2023年5月3日 16時

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