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風呂敷をぶらぶらと揺らしながら、音二郎さんに事前に伝えた雑貨屋の店先で、商品を物色すること三十分ほど。
「わりぃ、遅くなっちまったな。」
ピンストライプスーツの音二郎さんが、息を切らしながらやって来た。
「出ようと思ったら、人通りが多くなっちまってよ。すまんな」
いきなり声をかけられて驚いたが、平静を装い返事をした。
「いえ、大丈夫です。私もこっちで楽しんでしまっていたので。」
手に持っていた赤い風車を置く。
何日かぶりに見る男性姿の川上さん。
見とれてしまうほどにかっこいいその姿は、私の心を嵐のように乱してくれる。
軽くはねた茶色い短髪は柔らかそうで、まっすぐで意志の強そうな鮮やかな紫色の瞳。
美形の類に入るであろう整った顔立ち。
「やっぱり、川上さんは男性服の方が似合いますね。」
「ん？なんか言ったか？」
「何でも無いです、早く行きましょう。」
私の言葉は小さくて届かなかったよう。
半分ホッとしながら、半分残念に思いながら一歩前に踏み出した。
「ああ、そうだな。」
そう頷いて、私の隣に並び歩き始めた音二郎さん。
不意打ちの笑顔に、私もドキッとした。
「そういやお前、最近なんの本を読んでんだ？」
「うーん。日常ものの小説ですかね。」
「そうか。」
「今度の上演はどんなお話になさるんですか？」
「そうだなー。たまには恋愛ものもいいかもしれねぇな。
そうそう、今、鏡花ちゃんが書いてる小説も恋愛ものらしくてな。早く完成してくれれば、それを使うんだが……催促しても全然完成させてくれねぇんだよ」
楽しげに語る想い人。
貸本屋までの道が、いつもより短く感じたのは、多分、音二郎さんと一緒に行けることが嬉しいからだ。
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あき(プロフ) - スズシロさん» ご指摘、ありがとうございます。修正いたしました。そう言っただけて嬉しいです(^^)ありがとうございます！ (2020年1月16日 22時) (
レス) id: 9c8110894d (このIDを非表示/違反報告)
スズシロ - ページ8の夢主の台詞に誤字が…！素敵な作品でのめり込んでしまいます。白雪さんとの会話が大好きです。 (2020年1月14日 20時) (レス) id: 2278f8332d (このIDを非表示/違反報告)
ブラッディ・ドリーマー(プロフ) - 蛍さん» ありがとうございます！！頑張ります！ (2019年2月7日 17時) (レス) id: 75edeed284 (このIDを非表示/違反報告)
蛍 - 凄く泣ける!!感動しました!!これからも頑張ってください!! (2019年1月31日 21時) (レス) id: 9dca3fdc31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あき | 作者ホームページ：
作成日時：2018年9月2日 0時
