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掃除をさっさと終わらせ、元から身についていたことで、茶道やら所作やらのお稽古は免除の私は、昼過ぎから自由の身になった。
「そろそろ、貸本屋に行こうかな。」
部屋の掃除を終わらせ、窓際で伸びをしながら呟いた。
読みたい本も、読み終わった本もたくさんあるし、それに……。
「あと少し。それまでには・・・・。」
ここに来て三日ほどたった時、川上さんに言われたことを思い出す。
『お前、本好きなんだな。』
貸本屋に案内してもらい、つい没頭してしまった私に笑いながら言った言葉。
『なあ、戯曲書いてみねぇか？』
『お前なら絶対面白いの書けると思うけどな。』
『もし書き上がったら、そんときは俺が、川上座で上演するからよ。そしたら、絶対鏡花ちゃんも嫉妬するぜ？』
「期待されても、困るんだけどね……。」
それでも書こうと思ってしまうのは、彼が好きな人だからなのか。
話を考えるのは好きで、時々、書いたりもしていたけど、ほんのお遊び程度のことだし。
「……。」
自信がないのに、断り切れなかった。
これが、惚れた弱みというやつか。
「はぁ、叶うはずもない恋はするもんじゃないね。」
夜叉ヶ池の白雪のように。
昨夜、鏡花さんから教えてもらった、夜叉ヶ池の話を思い出す。
会えない人に恋をしたら、辛いだけ。
完璧な私の片思い。
芽衣さん泉さんが好きで、川上さんは芽衣さんが好き。
それで私は川上さんを好きになってしまった。
泉さんの気持ちはわからないけど、このいびつな三角関係は、どうしたらいいのか。
常日頃、川上さんの一挙一動にしている私の心は、どうやって消そうか。
「天と地以上の差・・・・か。」
芽衣さんを見る音二郎さんの瞳は、誰よりも優しくて……。
でも、私が芽衣さんのように音二郎さんの隣を歩いても、目が合ったことは一度もない。
お転婆だけど可愛くて、愛想も良い芽衣さん。
無愛想で、うまく笑顔を作ることもできない。ついでに可愛げもない、私を
ゼロはどうあがいたって、一にはなれない。
窓から見える、青い空に浮かぶ白い月は半分になっていた。
「あと、3週間くらいか……」
私は、何があってもここに残る気はない。
そう、決めていた。
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あき(プロフ) - スズシロさん» ご指摘、ありがとうございます。修正いたしました。そう言っただけて嬉しいです(^^)ありがとうございます！ (2020年1月16日 22時) (
レス) id: 9c8110894d (このIDを非表示/違反報告)
スズシロ - ページ8の夢主の台詞に誤字が…！素敵な作品でのめり込んでしまいます。白雪さんとの会話が大好きです。 (2020年1月14日 20時) (レス) id: 2278f8332d (このIDを非表示/違反報告)
ブラッディ・ドリーマー(プロフ) - 蛍さん» ありがとうございます！！頑張ります！ (2019年2月7日 17時) (レス) id: 75edeed284 (このIDを非表示/違反報告)
蛍 - 凄く泣ける!!感動しました!!これからも頑張ってください!! (2019年1月31日 21時) (レス) id: 9dca3fdc31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あき | 作者ホームページ：
作成日時：2018年9月2日 0時
