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たどり着いた不忍池。
置屋に帰るでもなく、ここに来てしまったのは、きっと、白雪さんがいるからだ。
「知ってたよ！！でも、諦められなかった！！」
池のほとりで私は叫んだ。
今まで抑えてきた感情が、蓋が外れて箱から飛び出すように溢れ出てきていた。
鏡花さんは今日は来ないだろう。
あんなにベロンベロンに酔っていたんだ。
それにきっと、酔いがさめても芽衣さんを送りに置屋に行くはず。
だからここには、私一人だけ。
「わかってた……。音二郎さんの目には、私が映ってないことくらい。」
へなへなとその場に座り込んだ私の前に、白雪さんが、哀しそうな表情で現れた。
「いつも見上げても、その顔は芽衣さんの方を向いてた。
隣を歩いても、一度だって目が合うことはなかった。」
『私がいますよ』
そう言っても、表情を変えなかった。
「辛そうに、寂しそうに、ほんの一瞬だけ見せる表情が、苦しかった。」
息がつまるほどに辛かった。
痛いほどに胸が締め付けられた。
何とも言えない感情が、あふれて、止まらなくて。
それに必死に耐えて、隠して、
それにもきっと、気付いてもらえていない
「わかってた」
探しに来ないことを。
いくら待っても、愛しい人が現れないことを。
「私が、誰からも愛してもらえないことくらい、ずっとずっと前からわかってたのに……」
いじめられて、髪を切られて、名前を守るためだって、私を家の奥に閉じ込めて。
「でも、愛されたいって、
川上さんに、愛してもらいたいって、思っちゃったんだもん……」
私の叫び声が、夜空に響いた。
胸が苦しい。
息がうまく吸えない。
音二郎さんの笑顔が、瞼の裏に浮かんだ。
音二郎さんに愛してもらいたいと思った。
音二郎さんに笑いかけてもらいたいと、思ってしまった。
「あああああああ！！！！！！！！」
湖に涙が落ち、湖月が揺れた。
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あき(プロフ) - スズシロさん» ご指摘、ありがとうございます。修正いたしました。そう言っただけて嬉しいです(^^)ありがとうございます！ (2020年1月16日 22時) (
レス) id: 9c8110894d (このIDを非表示/違反報告)
スズシロ - ページ8の夢主の台詞に誤字が…！素敵な作品でのめり込んでしまいます。白雪さんとの会話が大好きです。 (2020年1月14日 20時) (レス) id: 2278f8332d (このIDを非表示/違反報告)
ブラッディ・ドリーマー(プロフ) - 蛍さん» ありがとうございます！！頑張ります！ (2019年2月7日 17時) (レス) id: 75edeed284 (このIDを非表示/違反報告)
蛍 - 凄く泣ける!!感動しました!!これからも頑張ってください!! (2019年1月31日 21時) (レス) id: 9dca3fdc31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あき | 作者ホームページ：
作成日時：2018年9月2日 0時
