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「ところで、医学に興味があるなら、今度はこの本を読んでみるといい。」
「これは何ですか？」
渡された本の表紙を見る。
何やら難しい文字が並んでいる。
この時代の文字は、まだミミズのようで、読むのには一苦労だ。
「西洋医学についての本だよ。
医学について全く知らない君が読むには、少々難しいかもしれないが、理解できればなかなか興味深い本だ。
ついでに、医学の基本について書かれているこの本も読むといい。
ああ、あとこれもいいな。」
そういいながら、本棚から本をいくつか抜き取っていく。
「うん、それくらいあれば、理解できるだろう。」
満足そうに、私の手の上に積み上げられた五冊の本を見下ろした。
「このままだと私、お医者さんになっちゃうかもしれませんね」
冗談めかして言うと、鴎外さんはまじめな顔でうなずいた。
「そうしたら、私の助手として雇おう。」
「考えておきます。」
鴎外さんの助手。
なんだか大きな話だ。
「ほかに何か見るかい？」
「いえ、今回はこの五冊だけ借ります。
毎度毎度、教えてくれてありがとうございます。」
「何、僕としても、医学について論じあえる者が増えるのならうれしい。
それを読んだらぜひ、君の意見を聞かせてくれないかい？」
「うーん、まだそれは難しいかと思いますが、もう少ししたら、できるようになるかもしれませんね」
「では、今度僕の屋敷に来るといい。
医学だけではなく、様々なことを教えてやろう。」
「それは、楽しみです」
「お前と話していると飽きない。
また今度、お茶でもどうだい？」
突然のお誘い。
どうしようか迷いながら、あいまいに笑いながら返事をした。
「時間が合いましたら、ぜひ」
あと、二週間の間にできるかどうかはわからないけれど。
鴎外さんは、私の気持ちも知らずに嬉しそうに微笑んだ。
「では、僕はこれで失礼するよ。」
「はい。本当にありがとうございます。」
店を出ていく鴎外さんを見送り、私は勧められた本を借りるために、店主の元へ向かった。
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あき(プロフ) - スズシロさん» ご指摘、ありがとうございます。修正いたしました。そう言っただけて嬉しいです(^^)ありがとうございます！ (2020年1月16日 22時) (
レス) id: 9c8110894d (このIDを非表示/違反報告)
スズシロ - ページ8の夢主の台詞に誤字が…！素敵な作品でのめり込んでしまいます。白雪さんとの会話が大好きです。 (2020年1月14日 20時) (レス) id: 2278f8332d (このIDを非表示/違反報告)
ブラッディ・ドリーマー(プロフ) - 蛍さん» ありがとうございます！！頑張ります！ (2019年2月7日 17時) (レス) id: 75edeed284 (このIDを非表示/違反報告)
蛍 - 凄く泣ける!!感動しました!!これからも頑張ってください!! (2019年1月31日 21時) (レス) id: 9dca3fdc31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あき | 作者ホームページ：
作成日時：2018年9月2日 0時
