プロローグ ページ1
赤い月。
やけに明るい、赤い月。
学校の帰り。
スースーする首回り。
パラパラ落ちる髪。
重い足。
家に帰りたくなくて、聞こえてきた祭囃子に誘われるように、ふらふらと歩いた。
「さあさあ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい。
西洋奇術博士が送る、世紀の大マジックショーだよー！！」
マジック……。
なんとなく、聞こえてきた声の方に進む。
「さあ、こちらの箱。これはいれた物を何でも消してしまう不思議な箱。
今宵はこの箱で、たくさん消して差し上げましょう。
この中に自家用ジェットをお持ちの方。
それか、今日はインドから像に乗ってきたよって人、いらっしゃいませんか？」
現実味のない問いかけに、お客さんの中から笑い声が上がる。
「いないようですね……それでは、皆さまの中から、今日は特別サービスで二人、消して見せましょう！！」
ぐるりとあたりを見回す舞台上にいるマジシャン。
その細い目が開かれ、私とぱっちり目が合った。
「では、そこのお嬢さん」
しっかりと会っている瞳。
伸ばされた手。
「私？」
「そう、貴方。それから、その隣のお嬢さんも」
私は隣を見る。
私と同い年くらいの女の子が、私と同じように、不思議そうな顔で私を見ていた。
「さあ、早く」
マジシャンに言われるまま、周りに押されるまま、いつの間にか私たちは舞台の上に立っていた。
「さあ、この中に入って。
少し狭いかもしれないけど、きっと大丈夫だよ」
無責任な言葉と共に、私たちは箱の中に押し込められた。
確かに、二人で入るには狭い箱だ。
ぱたんと蓋が閉じられ、真っ暗になる。
これが終わったら、もう少しここら辺を歩こうかな。
「３。」
この髪は、なんて言い訳しようか考えなきゃ。
「２。」
明日、学校に行きたくないな……。
「１。」
このまま、本当に消えることが出来たら……。
『パチン』と音がして、意識が遠のくのを感じた。
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あき(プロフ) - スズシロさん» ご指摘、ありがとうございます。修正いたしました。そう言っただけて嬉しいです(^^)ありがとうございます！ (2020年1月16日 22時) (
レス) id: 9c8110894d (このIDを非表示/違反報告)
スズシロ - ページ8の夢主の台詞に誤字が…！素敵な作品でのめり込んでしまいます。白雪さんとの会話が大好きです。 (2020年1月14日 20時) (レス) id: 2278f8332d (このIDを非表示/違反報告)
ブラッディ・ドリーマー(プロフ) - 蛍さん» ありがとうございます！！頑張ります！ (2019年2月7日 17時) (レス) id: 75edeed284 (このIDを非表示/違反報告)
蛍 - 凄く泣ける!!感動しました!!これからも頑張ってください!! (2019年1月31日 21時) (レス) id: 9dca3fdc31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あき | 作者ホームページ：
作成日時：2018年9月2日 0時
