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タンッ、と50社目の履歴に目を通し終え、癖のようにEnterキーを押した時、
時刻は21時を回ったところだった。


朝8時から仕事を始めて単純計算、1社あたり15分。
・・・まあ上出来ではないだろうか。

他にも資料準備やら集計作業やら、
部内では若手ならではの頼まれごとがちょこちょこあったことを考えると結構頑張った方だと思う。


初日から13時間勤務。

何ならお昼ご飯は休憩できないことを見越して
事前に買う事が癖になっていたコンビニおにぎり2個と野菜ジュースだけ。


ああー帰りたい。でも明日からコンペ準備が始まるとか今朝言っていた気がする。
流石にノープランで挑む勇気はないから下調べは必要だ。


でもぶっ続けは頭が化石になる予感がして、
ちょっと休憩、と席を立とうとした時、

「阿部ちゃーん。」


今朝、どうでもいいやと意識の外に追いやった、
何となく記憶の片隅にあった声色で名前を呼ばれた。

横を見るとほっそりとした人影。


「・・・ふっか?」
「よかったぁー、俺の知ってる阿部亮平だった!」
「この名前で同姓同名って、あんまりいないと思うけど」
「阿部ちゃん、こーんな顔、してたんだもん」

ふっかは『こーんな顔』、と言って両手の人差し指で眉間にしわを寄せた。
おまけに口までタコみたいにすぼめてる。


「それ、俺に似てるの?」
「うん。なかなかの力作だと思う」
「・・・スミマセン。俺の知ってる深澤さんとは別人みたいデス」
「わーーん!ごめんなさい!嘘!嘘だってぇー!」


今度は両手を顔の前で合わせてワタワタと謝っている。
騒がしいヤツめ。全然変わんない。


「阿部ちゃん、今から一息つくところでしょ?一緒に行かない?」

変わってふんわりと笑ったふっかは、
ちょいちょい、と扉を親指で指した。

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作者名:透季 | 作成日時:2021年5月23日 17時

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