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ピコンッ。
軽い電子音が鳴り、チャットの受信を知らせる。
“佐久間 大介からメッセージを受信しました”
“今日はランチどう?”
クリックして開くと、いつものお誘い。
“ゴメン、今日この後外出予定あって”
俺はここ最近、何かしらの理由をつけて佐久間からの誘いを断ることが増えていた。
週2回のコンペの打ち合わせでも、全く事を感じさせないふっか。
勿論、フロア自体が違う佐久間はこの状況を知らないわけで。
それに乗じて知らないふりする自分に、佐久間のことを騙しているような罪悪感がどうしても拭いきれずにいた。
けど、ここ最近忙しいのも事実。
今日もこの後外出予定があるのは嘘ではない。
ピコンッ
再びチャットの受信を知らせる。
“最近、なんかあった?”
佐久間は純粋に心配してくれてるんだろうけど、俺の言動を見透かされてる気がして、返信に迷う。
既読をつけてしまったから、すぐに返信しないと怪しまれる。
そんな浅はかな考えが頭をよぎった時、
「それはないんじゃないですか!?」
聞き馴染んだ関西弁が声を荒げるのが耳に入ってきて、思わず顔をあげた。
次長席の前に、ふっか、と康二。
フロア中がしんっ・・・と静まりかえり、着信を知らせるコール音がやけに大きく響き渡る。
が、それもすぐに誰かが応答して途切れた。
「毎月毎月、成績1位をキープするのも大変だろ?さぞ、あれやこれや努力してるんだろうなぁ」
「何を言うてるんですか!ただの妬みやないですか・・・っ」
「康二、いいから」
「でも・・・っ!」
ニヤついた顔を隠しもせず、反吐がでる。
ゲスの極みもいいとこだ。
「もしかして君、向井も深澤に食われたか?だからそんなに味方するんだろ」
「・・・向井は巻き込まないでください。事実無根です。関係ありませんから」
皆、憐れんだ瞳で遠巻きに見るしかない。
内心、同情しながらも自分は巻き込まれたくない、とでも言うようで。
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作者名:透季 | 作成日時:2021年5月23日 17時