検索窓
今日:17 hit、昨日:33 hit、合計:166,739 hit

4 ページ4

俺が異動になったこのマーケティング戦略部は、
いわゆる縁の下の力持ちタイプの仕事だ。


営業部がクライアントにプレゼンをする提案書を作る時に、
競合他社の動きや市場のトレンドを調査して分析し、勝ちパターンを推察していく。

絶対に他社に負けない提案をするためのアキレス腱だとも言われている。


だから俺たちが調査結果をあげないと提案は前に進まないし、
分析が間違っていれば企画も総倒れになりかねない。

要はめちゃめちゃ頭を使う仕事だ。


そして責任がヤバい。


それもあって部内は常にピリついてるというか。

会話は必要最低限のみ!最低限のラインすら自己完結せい!と、
どんどん下がっていくのが目に見える。


加えて回りを見渡す限り、おそらく部内では自分が一番若いのだろう。
藤川さんが唯一30代半ばといったところか。

ほとんどが40代前後とかなりの場数を踏んできたキャリアだと思しき風格が感じられる。

これは良い意味でも悪い意味でも付かず離れず、ビジネス上のみの関係を築けそうだ。



対して、調査結果はまず営業部にあげ、提案内容をチームになって創り上げていく特性上、
同じフロアには花形といわれる第一営業部が配置されている。


が、それはまあ華やかだ。


どのくらい華やかかというと、一言話すたびにキラキラが舞う幻覚が見える。

「ただいま戻りましたー!洋菓子店の高木さまから初案オーケー頂きました!(キラキラ!)」
「よし!よくやった!ここからが勝負だ、期待してるからな!(キラキラ!)」
「任せてくださいよ!(キラキラ!)」

・・・みたいな。

性格上羨ましい、とは思わない。

ああ、住む世界が違うなあ。とぼんやり見つめる自分を、ぱちんと両頬を叩いて
『そんな事考えている暇はないぞ』
と気合を入れ直した。

そうだ。今日中に50社分の履歴を頭に入れこまなければならないのだから。

そうPCに向き直り、一つ目のフォルダを開いた時、


「戻りましたぁー」


記憶の片隅にある声色で、緊迫した場に全くそぐわない間延びした声が聞こえてきた。

あれ、、誰だっけな。聞いたことあるぞ。


一瞬、顔をあげ声の主を探そうとしたが、
はたとあと何十社も早く覚えてくれと行列を成している事を思い出し、
どうでもいいや、後回し。と、意識の外に追い出した。

5→←3



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (109 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
278人がお気に入り
設定タグ:SnowMan , 阿部亮平 , 病系
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:透季 | 作成日時:2021年5月23日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。