大人になった彼達は1 (ページ28)

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そんなプチ衝撃の事実が発覚してからというもの、
俺と佐久間は予想外にもランチ友達にまで発展していた。

こんなテンションの佐久間と仲良くなるとは思いもしなかったが
どうにも2人でいるときは居心地の良さを感じていた。

お昼少し前の時間に、食べに出る余裕があるとき社内チャットでお互い声をかける。

もっぱら、佐久間は時間的に少し余裕があるのか、俺にあわせてもらうことがほとんどだけど。

勿論、行き先は高確率で舘‘s Café。
佐久間も舘‘s Caféの常連だったらしく、舘さんの事を『国王！』と呼んでいた。

確かにどっかの国の王子感漂ってるもんな。

時刻は12時半。
ちょっと遅くなってしまったが、午後は時間に余裕がある。

“佐久間―、ごはんもう行った？”

チャットを送ると、すぐにピコンッと返信が来る。

“まだ！！阿部ちゃんも？13時に1階で待ち合わせしよ！”
“りょーかい”

因みに何故ランチ会なのか、というと。

康二が何度か仕事終わりに佐久間を誘っている姿を目撃していたが、毎回理由をつけて断られていたから。

『ゴメン～今日家でご飯たべる約束しちゃったんだよ～』
『実は今日、記念日でさ～～』
『あっ、さっきもう帰ったって連絡あったから俺も帰んなきゃ』

ほとんどが彼女がらみ。
お熱くてよろしいことで。佐久間は献身的な彼氏らしい。

要するに、『佐久間は夜は誘えない』と暗黙の了解と化したというわけだ。

メールの返信を何通かしているとあっという間に13時。

エレベーターに乗り込み1階につくと、既に水色パーカー姿の佐久間が待っていた。

「佐久間ごめん。お待た・・・」
「阿部ちゃぁーーーん！」
「えぇ！？ど、どうしたの」

ぴえーん！と、佐久間が泣きついてくる。

「今日、木曜日だったの・・・！」
「・・・ん？どういうこと？」
「舘‘s Café、お休みだったの！！」
「・・・そうじゃん！ええーー！マジか！」

そうじゃん、そうじゃん。営業日は月・水・金の3日間。
うっかりしてた。

「どうする？食堂行く？」
「うぅ・・・ヤダーー」

むー、と口をとがらせる佐久間。
俺だって食堂は味気ないしやだよー・・・。

「じゃあどっか外食べに行く？」
「阿部ちゃん、忙しいんじゃないの？外、行く時間ないでしょ？」
「今日は余裕あるから大丈夫だよ。こうなったらちゃんと旨いもん食わないと気が済まない」
「えっ！！そーなの！」

佐久間がふっかーつ！とでもいうように顔をあげる。
俺、いつもは外行く時間ないって言ってるからな。